労働者に支払われる賃金は、最低賃金法に基づき国が賃金の最低額を定めており、使用者はその最低賃金額以上の賃金を支払わなければなりません。

年齢やパート・学生アルバイトなどの働き方の違いにかかわらず、すべての労働者に適用されます。

最低賃金には、各都道府県ごとの「地域別最低賃金」と特定の産業を対象にした「特定最低賃金」の2種類が定められています。

地域別最低賃金は、都道府県内の事業場で働くすべての労働者とその使用者に対して適用される最低賃金として、各都道府県に1つずつ、全部で47件の最低賃金が定められています。

特定最低賃金は、特定地域内の特定の産業について、関係労使が基幹的労働者を対象として、地域別最低賃金より金額水準の高い最低賃金を定めることが必要と認めるものについて設定されており、全国で233件(平成29年4月1日現在)の最低賃金が定められています。

地域別最低賃金と特定最低賃金の両方が適用される場合は、高い方の最低賃金額が適用されます。

最低賃金の対象となるのは毎月支払われる基本的な賃金なので、最低賃金を計算する場合には、実際に支払われる賃金から以下の賃金を除外したものが対象となります。

① 臨時に支払われる賃金(結婚手当など)

② 1箇月を超える期間ごとに支払われる賃金(賞与など)

③ 所定労働時間を超える時間の労働に対して支払われる賃金(時間外割増賃金など)

④ 所定労働日以外の労働に対して支払われる賃金(休日割増賃金など)

⑤ 午後10時から午前5時までの間の労働に対して支払われる賃金のうち、通常の労働時間の賃金の計算額を超える部分(深夜割増賃金など)

⑥ 精皆勤手当、通勤手当及び家族手当

最低賃金額以上となっているかどうかを調べるには、最低賃金の対象となる賃金額と適用される最低賃金額を以下の方法で比較します。

① 時間給の場合

時間給≧最低賃金額(時間額)

② 日給の場合

日給÷1日の所定労働時間≧最低賃金額(時間額)

ただし、日額が定められている特定(産業別)最低賃金が適用される場合には、日給≧最低賃金額(日額)

③ 月給の場合

月給÷1箇月平均所定労働時間≧最低賃金額(時間額)

④ 出来高払制その他の請負制によって定められた賃金の場合

出来高等の賃金の総額÷出来高等の総労働時間数≧最低賃金額(時間額)

⑤ 上記①〜④の組み合わせの場合

例えば基本給が日給制で各手当(職務手当等)が月給制などの場合は、それぞれ上の②、③の式により時間額に換算し、それを合計したものと最低賃金額(時間額)と比較します。

最低賃金は平成16年度以降は、毎年引き上げられています。

引き上げは10月頃に発効となりますので、必ずチェックしましょう。

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