請負契約で業務中に負傷をしたら
最近発表された健康保険法の一部改正によると、今まで業務中の事故や怪我等は、労災保険の給付を受けることとなっていました。
そのため、例えば請負契約の方が業務中に負傷した場合、業務中であるため、健康保険が使えないというようなケースが多々発生していました。
このたび、この問題解決を計るため、労働者の業務外の事由による健康保険の適用の限定を外し、労災保険の業務災害以外の保険給付を健康保険で行うこととしました。
つまり健康保険の被保険者または被扶養者の業務上の負傷について、労災給付の対象とならない場合は、原則として健康保険給付の対象となったのです。
健康保険・労災保険其々の適用
もともと、健康保険法の「業務」とは「職業その他社会生活上の地位に基づいて継続して行う事務又は事業」と広く取り扱っています。
しかし、例えば請負で行った仕事や、インターンシップで負傷した時等は、労災保険も健康保険からも給付が受けられない事態が生じることがあり、厚労省で検討していました。
施行は平成25年10月1日からです。
一方、労災保険には、労働基準法に規定する労働者以外の者(請負業務を行う者等)で特に保護が必要な者には、特別加入制度で労災の任意加入を認めています。
雇用関係にある者はもちろん労災保険の対象者ですが、請負契約においては、就労の実態から労働者性を判断し、適切に適用していかなくてはならないでしょう。
法人の役員について
法人の役員は従来通り、業務上の疾病、負傷、死亡、等に関して労災の適用はありませんので、労災適用には特別加入制度の利用等が必要です。
特例として、平成15年7月の通達で「被保険者が5人未満である適用事業所に所属する法人の代表者等であって一般の従業員と著しく異ならないような業務に従事している者については、その者の業務遂行の過程において業務に起因し生じた傷病に関しても健康保険の給付の対象とする」と明記されています。
今回の改正で、業務上と業務外の間で保険給付が受けられなかった方が、救済されたことは多様な働き方が増えている時代に沿った改正と言えるでしょう。
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