審判事例にもあった競馬所得事案
昨年12月21日に公表された国税不服審判所の新裁決事例の中に、馬券による所得の無申告を税務署から指摘された地方公務員が、過去5年分の馬券所得を雑所得で申告したところ、税務署が一時所得に該当するとして更正処分をしたという事例がありました。
申告者は、多種多様のファクターを組み合わせて着順を予想し、競走後にも結果の分析及び検討を行い、次の競走に生かして、過去6年余にわたり、毎年黒字の収益を確保していたなどとして、本件競馬所得は、営利を目的とする継続的行為から生じた所得に該当し、雑所得である旨主張しています。
話題を呼んだのは別な事案
また、昨年11月29日、競馬での1億円の儲けに追徴額6.9億円、という全国紙での類似のニュースがありました。
こちらは、会社員がインターネットで馬券を3年間で計約28.7億円分購入し、約30億円余りの払戻しで差引約1.4億円の儲けを得たところ、国税局はこの馬券の所得を一時所得と認定し、30億円の収入に対する必要経費と認めたのは28.7億円ではなく、当たり馬券の1.3億円だけとしました。
時代が変わった馬券購入
賭博所得は法令規定に拘わらず実質的に無申告非課税という実態だったところ、窓口まで足を運び現金で馬券購入するというのではなく、銀行口座振替によるプッシュホン電話・携帯電話・インターネット経由での申し込みが一般的な購入形態になったことにより、当り馬券保持者が特定できるようになり、法令通りの課税・申告をなし得る時代になったようです。
順列組み合わせ確率論の前で足踏み
裁決事例での課税当局の主張は、「賭博は一回性のもので、各賭博の結果には相互関連性がない」という理由でした。
しかし、FX取引・株取引などにも賭博性の強いものがあるし、CDSなどのデリバティブ取引や保険契約などにも賭博と共通するものがあります。
儲けの7倍近い追徴になる課税処分は、担税力を課税の根拠とする所得税の趣旨から考えて異常です。
所得税基本通達が賭博所得を一時所得として例示していることが、課税当局の判断に制約を加えています。

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