年金支給開始引き上げと雇用確保措置
厚生年金の支給開始年齢の引き上げに伴い、無年金、無収入の人が出ない様に希望者全員が65歳まで働ける雇用確保措置を取るよう法で定めています。
現在は8割以上の企業は継続雇用制度を導入しています。
背景に年金の定額部分の支給開始年齢の引き上げがあり、今後報酬比例部分の支給開始年齢も引き上げられ、60歳代前半の年金給付が無くなる状況では、就業継続を希望する人はさらに増加するでしょう。
半数以上が65歳以降も仕事をしたい
厚生労働省が発表した調査によると、現在就業している60歳から64歳の人のうち56.7%は65歳以降も仕事をしたいと考えています。
仕事はしたくない16.6%、考えていない26.7%となっています。
仕事をしたいと回答した人の現在の就業状況は、
自営業者、家族従業員が78.1%、
会社団体の役員は56.7%
と高く、
正規従業員で49.8%、
アルバイト等46.5%で、
派遣・嘱託でも45.6%
となり、半数近くが就業継続を望んでいます。
その理由としては、生活のためである一方、
健康維持30.2%、
今の仕事が好き24.2%、
社会とのつながりの維持23.8%、
と社会性を求める意見も多くあります。
実態は生活費について、50歳代のころは年金で賄う予定であったものの、60代前半になると働いた所得のある人が70.9%と、現実には働く必要があったということでしょう。
高齢者の就業意欲も活かし若者にも雇用を
元々日本の高齢者の就業意欲は欧米に比べると高いと言われていますが、欧米では1970年代以降60歳代前半になると6割から8割が労働から引退していた時期が続いていました。
失業率の高い若者の雇用機会を増やす目的でありましたが、結果として社会保障給付が増え、雇用全体が減らされ、若年失業率は下がらず1990年代には政策見直しを迫られました。
日本も年金支給開始年齢が上がると継続就業を希望する人は増えるでしょう。
高齢者の働く意欲を活かすには年功的雇用管理をやめ、時代の変化に対応できる能力の開発も欠かせないことでしょう。
また、高年齢者の就業が若年者の雇用機会を奪うことのないように国も企業も取り組むことが求められるでしょう。
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