ネット取引はグローバル
「電子書籍や広告を配信している、楽天などインターネット関連の大手企業が、配信拠点を海外に移す検討をしている」との報道があります。
「日本の消費税不課税の海外ネット大手と競争条件をそろえるため」ということが理由です。
国境を越えた取引でも、税関を通過するものには、そこで課税できますが、ネットの中だけで取引が実現してしまうものには、消費税の課税をすることは限りなく不可能です。
それで、日本の消費税法も、最初から課税を想定していません。
日本の消費税課税への侵蝕
配信拠点の海外移転によって、消費者の負担する消費税はゼロになります。
海外配信拠点への国内事業者からの配信データの引き渡しは「輸出」に該当し、それまで累積されている仮払消費税はその「輸出」の際に全額還付され、国内事業者に累積消費税の負担が残らないので、消費者に価格転嫁する必要がありません。
ネット取引が非課税だったら、この消費税還付は無くて、事業者の負担のままになりますが、輸出は税率ゼロの課税なので、還付されるのです。
そうすると、事業者に負担が無いならば、事業そのものの海外移転は必要ないので、事業の空洞化は起きません。
そのかわり、課税の空洞化が起きます。
ゼロ税率課税を廃止したら
課税の空洞化を阻止する方策としては、ゼロ税率を廃止して「非課税とする」という案があり得ます。
ゼロ税率という輸出免税制度は、輸出産業に対する事実上の補助金なので、輸出免税の廃止は、輸出産業の国外移転を促進することになります。
国際消費税多国間条約の創設
消費税が世界標準の課税制度だったら、ネット取引に関する多国間条約を創始して、国際間共通税率を設定して、ネット取引の発信者を通じて、ネット取引利用者への課税をすることもありえるでしょう。
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