マイナスはなかった以前とネーミング
資本積立金については、平成13年の改正でマイナスの発生があり得ることとなり、平成18年からは「資本金等の額」とネーミングされるようになりました。
利益積立金も同じで、そのマイナスとなったときの不都合がさまざま指摘されたところで、不都合への対処として法令改正が何度もなされています。
第一は自己株取得とみなし配当
平成19年度の法人税政令の改正で、「自己株式を取得する直前の資本金等の額」がゼロ以下である場合は、所有株式に対応する資本金等の額及び減少資本金等の額は「ゼロ」とすることとされました。
みなし配当の計算においても、マイナス資本金等の額の場合、交付金銭等の全額が、株主に対するみなし配当となることとされました。
その他、資本の払戻しや分割型分割の場面でも同様の問題があるので類似の改正がされています。
第二は清算所得の廃止
残余財産-資本金等-利益積立金=清算所得
清算所得課税の公式はこの通りだったので、これだと、赤字つづきの会社が清算すると、マイナスの利益積立金についてのマイナス計算になり、課税所得が生ずることになってしまう不合理をもたらします。
実務では資本金等と利益積立金のマイナスは清算所得計算上、法律を無視して、ゼロと扱っていました。
この不都合を解決するために、平成22年度の法改正で、清算所得課税制度を廃止してしまいました。
第三は債務免除益への課税回避
残余財産がないと見込まれる場合には、「期限切れ欠損金(マイナス利益積立金)の損金算入が認められる」との平成22年度税制改正をうけて、さらに、「マイナス資本金等の額も損金算入することができる」と、平成23年度税制改正がありました。
清算年度での債務免除益課税が起きないようにするためです。
これは、一見、資本と利益の混同のように見え、事実そうなのかもしれませんが、譲渡損や評価損として損金算入されていたものが、法改正で資本金等にされることが多々あるようになったことをうけてのことと考えられます。

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