国際課税については、主な改正として、
①外国税額控除制度の見直し
②移転価格税制の見直し
③外国子会社合算税制等の円滑な執行を図るための見直し
等があります。
ここでは、①の外国税額控除制度の見直しについて、その改正内容を確認していきます。
外国税額控除制度は、国際的二重課税を排除するために、外国で納付した外国税額を、国外所得に対して我が国で納付すべき法人税額(控除限度額)の範囲内で控除するものです。
しかしながら、現行の外国税額控除制度は、二重課税となっていない外国税額も控除限度額の余裕額を利用して控除でき、必ずしも適正に機能していない面もあります。
また、日本に本店がある法人もほとんど日本で税を負担しない仕組みなどの制度の歪みがあり、これを是正する必要があることから幾つかの改正がなされています。
「高率」な税率の引下げ
外国税額控除の対象外である「高率」な外国租税水準(現行50%超)を我が国の法人実効税率(引下げ後の法人実効税率)と概ね同水準となる35%超までに引下げました。
これにより、二重課税が発生していない外国税額を控除対象から除外することで「彼此流用の余地の縮減」を図っています。                    
非課税国外所得の全額排除
控除限度額の計算の基礎となる国外所得から非課税の国外所得の全額(現行3分の2)を除外するとしました。
同様、これにより「彼此流用の縮減」が図られます。
但し、2年間は非課税国外所得の「6分の5」を除外とする激減緩和措置を講じています。
国外所得割合90%制限の廃止
控除限度額の計算の基礎となる国外所得の90%制限に係る特例は廃止することとしました。
これにより、我が国での最低限の納税確保を図っています。
外国法人税の定義の明確化
複数の税率の中から納税者と税務当局等の合意により税率が決定される外国の税について、最も低い税率を上回る部分は、外国税額控除制度及び内国法人等の特定外国子会社等に係る所得の課税の特例(いわゆる外国子会社合算税制)等の適用上、外国法人税及び外国所得税に該当しないものとしています。
上記の改正は、平成23年4月1日以後に納付する外国法人税及び外国所得税について適用されます。

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