先日、最高裁判所は、死亡保険金を年金の形で受け取る生命保険について、相続税と所得税の両方を課税するのは「二重課税で違法」との判決を下しました。
これを受けて国は同種契約の生命保険で徴収しすぎた所得税を還付することになりました。
何が「二重課税」とされたのか?
原告の女性は夫が死亡した際に一時金で死亡保険金を4千万円受取り、さらに特約年金としてその後毎年230万円ずつ10年間受取る権利を取得しました。
このうち一時金で受け取った死亡保険金については相続税の課税対象になりますが、所得税は課されず、二重課税にはなりません。
しかし、年金で受け取る特約部分は、相続財産を取得した時点で一定割合が相続税の課税対象となるうえに、さらにその後毎年受給する230万円にも所得税が課されます。最高裁判所はこのうち1年目の年金に課された所得税を「違法な二重課税」と判断しました。
1年目だけ?
今回の裁判では、少なくても1年目に受け取る年金は全額が元金で、運用部分が少ないため、所得税は課税できないとしています。
2年目以降に受け取る年金には相続後に発生する運用益が含まれ、運用益部分には所得税が課される可能税があります。
しかし、今回の裁判では判断が示されませんでした。今後の課題となりそうです。
還付を受けるには?
もしこのようなケースにあてはまった場合でも、税務署から自動的に還付金が振り込まれてくるということはなく、還付請求(更正の請求)を出さなければいけません。
今のところ法律通り5年前までの分が還付の対象となるようですが、5年を超えた分についても還付の方向で法的な措置が検討されているようです。
もしお心当たりのある方は、当社に一度ご相談下さい。
このような二重課税の疑いは今までも問題視されていました。今回はその問題に真摯に向きあい、国に挑んだ訴訟ともいえます。
この判決は金融商品の課税の在り方を幅広く見直す契機にもなりそうで、家計に与える影響も大きいと思われます。

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