専門誌によれば、今年上半期における上場会社の倒産件数は、戦後2番目の数値だそうです。
自民党の小泉政権の時代、個人の金融資産について、「貯蓄から投資」への「構造改革」が叫ばれました。
この喧伝にのって、株式投資を開始して個人投資家となった方も多いのでないかと思われます。
しかし、当時の証券税制では、上場株式の発行会社が倒産した場合、上場廃止前に売却して損失を確定していない限り、倒産等による株式の無価値によるその損失は、譲渡損として扱われず、他の株式等の譲渡益と損益通算ができませんでした。
そこで、証券市場に個人資金の流入を促進するため、平成17年の税制改正で、一般の個人投資家の投資リスクの軽減策の一環として、株式喪失損の特例制度が創設されました。
(1)無価値化に伴うみなし譲渡損の特例
正式な制度の用語は、「特定管理株式等が価値を失った場合の株式等に係る譲渡所得等の課税の特例」です。
制度の概要は、特定口座で管理していた上場株式(国内法人株式)が上場廃止となり、その後、その株式が「特定管理口座」で引続き管理され、さらにその後、その株式が清算結了等に至った場合には、その株式の無価値化損失は、「株式等の譲渡損」とみなし、株式の譲渡益との損益通算を認めるものです。
なお、この制度は、平成17年4月1日以降に上場廃止に至り、その後清算結了等に至った場合が対象です。
(2)みなし譲渡損の金額の計算
譲渡損とみなされる「特定管理株式の価値喪失株式に係る損失の金額」は、その株式の取得価額相当額です。
(3)申告手続き
その会社の清算結了等の事実が発生した場合、「特定管理口座」を開設する証券会社等から「価値喪失株式に係る証明書」の交付を受け、その年分の確定申告書に明細書等の添付が必要です。
なお、この場合、上場株式等の譲渡損失の3年間の繰越控除制度の適用をうけることはできません。
もし、上場廃止となり無価値になった株式等があれば、この制度の適用可否を検討されるのも一考です。
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