棚卸資産は取得価額も注意して
税務調査では、まず棚卸資産の計上漏れがないか、調査されます。それと同時に注意しなければいけないことに棚卸資産の取得価額があります。
棚卸資産といっても製品・仕掛品のように「自社で製造されたもの」と、商品・材料のように「購入したもの」とがあります。
購入した場合には
購入先に支払った代金の他に引取運賃・荷役費・運送保険料・購入手数料・関税(附帯税を除く)等の購入のために要した費用を加算したものを取得価額としなければなりません。
また、販売するまでの間にかかる購入事務、検収、整理、選別、手入れ等の費用や、販売所への移動運賃等や、長期に渡って保管する場合には、その保管費用も少額(購入対価の概ね3%以内)のもの以外は取得価額に算入しなければなりません。
輸入の場合は要注意
国内で購入している場合は、こう言った費用はあまり出ませんが、輸入しているような場合は、必ず出ますのでご留意ください。
しかし現実の事務処理として、こう言った全てのものを計算して棚卸資産の単価を計算することは大変です。
「仕入諸掛」勘定を作ろう
引取運賃・荷役費・運送保険料・購入手数料・関税(附帯税を除く)等の購入のために要した費用や、購入事務・検収・整理・選別・手入れ等の費用・販売所への移動運賃等や、長期に渡って保管する場合の保管費用などがある場合は、これらの費用を様々な科目に振り分けないで、一括して「仕入諸掛」といった科目で管理し、期末に以下の算式を使い一括で振り替える方法を、お勧めします。
仕入諸掛の合計金額×期末棚卸高÷期中仕入総額=期末棚卸に加算すべき仕入諸掛
紙面の都合上今回は購入の場合に限っております。
法人税法施行令
第32条  第28条第1項(棚卸資産の評価の方法)又は第28条の2第1項(棚卸資産の特別な評価の方法)の規定による棚卸資産の評価額の計算の基礎となる棚卸資産の取得価額は、別段の定めがあるものを除き、次の各号に掲げる資産の区分に応じ当該各号に定める金額とする。
一  購入した棚卸資産(法第61条の5第2項 (デリバティブ取引による資産の取得)の規定の適用があるものを除く。) 次に掲げる金額の合計額
イ 当該資産の購入の代価(引取運賃、荷役費、運送保険料、購入手数料、関税(関税法 (昭和29年法律第61号)第2条第1項第4号の2 (定義)に規定する附帯税を除く。)その他当該資産の購入のために要した費用がある場合には、その費用の額を加算した金額)
ロ 当該資産を消費し又は販売の用に供するために直接要した費用の額
法人税法基本通達
(購入した棚卸資産の取得価額)
5-1-1 購入した棚卸資産の取得価額には、その購入の代価のほか、これを消費し又は販売の用に供するために直接要したすべての費用の額が含まれるのであるが、次に掲げる費用については、これらの費用の額の合計額が少額(当該棚卸資産の購入の代価のおおむね3%以内の金額)である場合には、その取得価額に算入しないことができるものとする。(昭55年直法2-15「五」、平19年課法2-17「十」により改正)
(1) 買入事務、検収、整理、選別、手入れ等に要した費用の額
(2) 販売所等から販売所等へ移管するために要した運賃、荷造費等の費用の額
(3) 特別の時期に販売するなどのため、長期にわたって保管するために要した費用の額
(注)1 (1)から(3)までに掲げる費用の額の合計額が少額かどうかについては、事業年度ごとに、かつ、種類等(種類、品質及び型の別をいう。以下5-2-9までにおいて同じ。)を同じくする棚卸資産(事業所別に異なる評価方法を選定している場合には、事業所ごとの種類等を同じくする棚卸資産とする。)ごとに判定することができる。
2  棚卸資産を保管するために要した費用(保険料を含む。)のうち(3)に掲げるもの以外のものの額は、その取得価額に算入しないことができる。
紙面の都合で触れておりませんが、取得価額に算入しないことができる費用は以下となります。
(棚卸資産の取得価額に算入しないことができる費用)
5-1-1の2 次に掲げるような費用の額は、たとえ棚卸資産の取得又は保有に関連して支出するものであっても、その取得価額に算入しないことができる。(昭55年直法2-15「五」、平5年課法2-1「四」、平15年課法2-7により改正)
(1) 不動産取得税の額
(2) 地価税の額
(3) 固定資産税及び都市計画税の額
(4) 特別土地保有税の額
(5) 登録免許税その他登記又は登録のために要する費用の額
(6) 借入金の利子の額

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