「所得拡大促進税制」は、青色申告書を提出している中小企業者等が、一定の要件を満たした上で、前年度より給与等の支給額を増加させた場合、その増加額の一部を法人税から税額控除できる制度です。

平成30年度税制改正において、基準年度(平成24年度)の給与総額との比較の廃止や、「継続雇用者」の定義を見直し、計算方法を簡素化したほか、税額控除率も拡充するなどの改正が行われました。

平成30年4月1日から令和3年(2021年)3月31日までの間に開始する各事業年度において、適用することができます。

主な改正点は次の通りです。

① 基準年度からの増加要件の撤廃

給与総額が基準年度(平成24年度)と比較して3%以上増加していることが適用要件でしたが、改正後は、基準年度との比較要件は撤廃されました。

② 税額控除率の拡充

給与総額の基準年度(平成24年度)からの増加額に対して、10%の税額控除でしたが、改正後は、給与総額の前年度からの増加額に対して、15%の税額控除となります。

③ 人材投資・生産性向上に取り組む企業に対する上乗せ

新たなスキル獲得のための研修などの人材投資や生産性向上に取り組む企業には、給与総額の前年度からの増加額に対して、税額控除率を25%に上乗せします。

(1)通常の場合

適用要件

① 給与総額が前年度以上

② 継続雇用者給与等支給額が前年度比で1.5%増加

⇒ 前年度からの給与総額の増加額に対して、15%を税額控除(法人税額の20%が上限)

(2)上乗せの場合

適用要件

① 給与総額が前年度以上

② 継続雇用者給与等支給額が前年度比で2.5%増加

③ 以下のいずれかを満たす場合

・ 教育訓練費が前年度比で10%以上増加していること

・ 中小企業等経営強化法に基づく経営力向上計画の認定を受けており、経営力向上が確実に行われていること

⇒ 前年度からの給与総額の増加額に対して、25%を税額控除(法人税額の20%が上限)

(3)継続雇用者とは

前事業年度の期首から適用年度の期末までの期間の全ての月分の給与等の支給を受けており、雇用保険の一般被保険者であった者が「継続雇用者」となります。

中途採用者、退職者などは「継続雇用者」には含まれません。

改正前に比べて、だいぶ計算しやすくなり、特に通常の場合の税額控除は適用しやすくなっています。

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