法人課税では、「生産性革命」の実現を後押しするために、十分な賃上げや生産性向上のための税制上の措置が講じられます。
賃上げ・生産性向上のための税制
(1)大企業における所得拡大促進税制の改組
高い賃上げと積極的な設備投資をした法人については税額控除を認め、さらに教育訓練費を増加させた法人についてはさらなる税額控除が認められます。
・次の①②を満たす場合 → 給与等支給増加額の15%の税額控除(法人税額の20%を上限)
① 平均給与等支給額が対前年度比3%以上増加
② 国内設備投資額が減価償却費の総額の90%以上
・上記に加えて③を満たす場合 → 給与等支給増加額の20%の税額控除(法人税額の20%を上限)
③ 教育訓練費が対前年度比20%以上増加
(2)中小企業者等における所得拡大促進税制の改組
中小企業者等については、(1)の大企業より有利な規定が設けられます。
・次の①を満たす場合 → 給与等支給増加額の15%の税額控除(法人税額の20%を上限)
① 平均給与等支給額が対前年度比1.5%以上増加
・上記に加えて②③を満たす場合 → 給与等支給増加額の25%の税額控除(法人税額の20%を上限)
② 平均給与等支給額が対前年度比2.5%以上増加
③ 次のいずれかの要件を満たすこと
a 教育訓練費が対前年度比10%以上増加
b 中小企業経営強化法の経営力向上計画の認定を受け、その経営力向上計画に従って経営力向上が確実に行われたものと証明されたこと
(3)情報連携投資等の促進に係る税制の創設
情報連携投資等の促進に係る税制を創設し、革新的事業活動による生産性の向上の実現のための臨時措置法(仮称)に基づく設備投資に対して特別償却又は税額控除の選択が可能となります。
(4)租税特別措置の適用要件の見直し
租税特別措置の適用要件の見直しを行い、大企業が前期比で所得が増加しているにもかかわらず、①②の要件のいずれにも該当せず、賃上げや設備投資に積極的でないと判定される場合には、研究開発税制その他の一定の税額控除を適用できないこととされます。
① 平均給与等支給額が前年度を超えること
② 国内設備投資額が減価償却費の総額の10%を超えるこ
事業再編の環境整備
(1)特別事業再編を行う法人の株式を対価とする株式等の譲渡に係る所得の計算の特例の創設
産業競争力強化法の改正を前提に、特別事業再編計画(仮称)の認定を受けた事業者が行った特別事業再編により、その有する株式を譲渡し、その認定を受けた事業者の株式を受けた場合には、その譲渡した株式の譲渡損益の計上を繰り延べることとされます。
この改正により、自己株式を対価とした公開買付けなど、任意の株式の交換について、その交換に応じた株主に対する譲渡損益に係る課税の繰延措置が講じられます。
地方拠点強化税制の見直し
地域再生法の改正を前提に、準地方活力向上地域とされた近畿圏中心部や中部圏中心部を、移転型事業の対象地域とする等の見直しが行われます。
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