国外に居住する親族にかかる扶養控除、配偶者控除、障害者控除、配偶者特別控除の適用を受ける場合には、「親族関係書類」と「送金関係書類」を提出または提示する必要があります。

① 親族関係書類

「親族関係書類」とは、国外居住親族が居住者の親族であることを証するものをいいます。

戸籍の附表の写し及びパスポートの写し、外国政府等が発行した書類(戸籍謄本、出生証明書、婚姻証明書等)で、その翻訳文も添付が必要です。

② 送金関係書類

「送金関係書類」とは、居住者がその年において国外居住親族の生活費又は教育費に充てるための支払を必要の都度、各人に行ったことを明らかにするものをいいます。

金融機関の書類等で、居住者から国外居住親族に支払をしたことを明らかにする書類で、その翻訳文も添付が必要です。

③ 扶養親族が留学する場合

扶養親族が留学する場合には、その留学が継続して1年以上国外に居住するものでなければ、その扶養親族は国外居住親族には該当しません。

なお、短期留学(1年未満)の場合であっても、別居している扶養親族を控除対象扶養親族とする場合には、生計を一にしていることを確認するために、送金等を行っていることが分かる書類等をご確認ください。

④ 親族関係書類の発行日

「親族関係書類」については、書類の発行日に関する規定はありませんので、書類の提出日より1年以上前に発行されたものであっても、有効な書類として認められます。

ただし、扶養控除等の対象となる親族については、申告書が提出される日の現況により判定することとされていますので、発行日が提出日より数か月以上前であるような場合には、その国外居住親族の親族関係に変更がないかをご確認ください。

⑤ 毎年、親族関係書類の提出は必要か?

扶養控除等申告書に記載された国外居住親族が居住者の親族に該当するかどうかは、その申告書が提出される日の現況により判定する必要がありますので、基本的には、毎年、その国外居住親族に係る「親族関係書類」を提出又は提示してもらう必要があります。

その国外居住親族の親族関係や住所等に異動がない場合には、前年以前に提示した「親族関係書類」を再度提示することも可能です。

⑥ 複数回の送金を行っている場合

国外居住親族に対し、その年に複数回の送金を行っている場合には、原則、全ての「送金関係書類」を提出又は提示してもらう必要があります。

ただし、送金等が年3回以上となる場合には、一定の事項を記載した明細書の提出と各国外居住親族のその年最初と最後に送金等した際の「送金関係書類」の提出又は提示をすることにより、それ以外の書類の提出又は提示を省略することができます。

また、送金額についての基準は特に定められていません。

⑦ 国外居住親族が複数いる場合

「送金関係書類」については、各人に送金を行ったことを明らかにするものとされていますので、扶養控除等の適用を受けるためには、各人別の「送金関係書類」が必要となります。

代表者の方にまとめて送金等がされている場合には、その代表者の方のみの「送金関係書類」に該当し、その代表者の方以外の国外居住親族に係る「送金関係書類」には該当しないことになります。

⑧ 複数年分まとめて送金している場合

扶養控除等を適用しようとする年に支払われていることが必要になります。

複数年分を送金等していた場合、その送金等をした年分の「送金関係書類」には該当しますが、その年以外の年分については、その国外居住親族に係る「送金関係書類」には該当しないことになります。

国外居住親族にかかる扶養控除等はかなり厳密になっていますので、上記の確認事項に注意してください。

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