誰もができれば避けたい「税務調査」ですが、「査察」と混同されていることも多いようです。
「税務調査」は法人税法などに規定されている質問検査権により行う「任意」の調査です。
所轄税務署により行われ、主な目的は、申告漏れ等の調査となります。
通常の税務調査の場合、現況調査を除き、調査をスムーズに行なうために、原則として企業または担当税理士に事前に通知をすることになっています。
これに対して、国税犯則取締法に基づいて行われる、いわば「強制」的な調査が「査察」です。
国税局査察部により行われ、主に悪質かつ大規模な脱税行為を検察庁へ告発することが目的となります。
査察の場合、臨検、捜索、差押などの権限があり、査察官が証拠を集め、裁判所から令状をとって行われることになります。
国税庁から平成28年度の査察の概要が公表されています。
平成28年度の査察調査の着手件数178件は、昭和46年以降最少となっています。
平成28年度中に処理された件数は193件で、脱税総額は161億600万円となり、前年度の138億4,100万円に比べて大幅に増加しています。
このうち、検察庁への告発件数は132件であり、告発率は68.4%でした。
大口事案は、4年ぶりに10億円以上(1件)の処理があり、5億円以上2件、3億円以上2件となっています。
また、消費税事案に積極的に取り組んでおり、前年度12件の2倍近い23件を告発しています。
いわゆる「マルサ」によって行われる強制捜査が「査察」です。
警察が行う強制捜査のようなもので、有無を言わさずに踏み込んでくるイメージです。
一般の納税者が経験される調査は所轄税務署からの「税務調査」となります。
「査察」は納税者の同意を必要としませんが、「税務調査」は納税者の同意が必要となります。
ただし、任意とはいっても、質問検査権が適用されますので、原則、税務調査には応じなければなりません。
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