貸倒引当金とは、貸借対照表に計上される売掛金や貸付金等の金銭債権に対する将来の取立不能見込額を見積もったものです。
以前は、すべての法人に貸倒引当金の損金算入の規定の適用がありましたが、平成23年度の税制改正で、貸倒引当金制度の適用対象法人が次の法人に限定されました。
・資本金1億円以下の法人(資本金5億円以上の法人の100%子会社等を除く)
・銀行、保険会社その他これらに準ずる法人
・リース取引に係る金銭債権を有する法人等
平成24年4月1日以降に開始する事業年度から適用されており、適用対象外となる法人については、経過措置により、繰入限度額が段階的に縮減されることになります。
平成24年度  改正前の繰入限度額の4分の3
平成25年度  改正前の繰入限度額の4分の2
平成26年度  改正前の繰入限度額の4分の1
平成27年度~ ゼロ
適用対象外の法人では、これまで以上に「貸倒損失」に該当するかどうかを、積極的に検討しなければならない場面が増えてくるでしょう。
資本金1億円以下の中小法人等については、従来通りとなるため上記改正の影響は生じません。
法人税法上は
①個別評価金銭債権に係る貸倒引当金
②一括評価金銭債権に係る貸倒引当金
に区別し、貸倒引当金の対象となる債権の範囲および繰入限度額の算定方法を規定しています。
繰入限度額に達するまでの金額は、損金経理により繰り入れた場合は、その損金算入が認められ、繰入限度額を超える部分については所得金額の計算上、加算調整が行われます。
①の個別評価金銭債権に係る貸倒引当金を設定する場合は、債務者の状況を的確に把握することが求められます。
特に、会社更生法などの法的手続きによらない場合には、「債務超過の状態が継続」「事業好転の見通しがない場合」「取立て等の見込がない」などの事実認定が必要ですので、より客観性のある資料の準備が重要となります。

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