中小企業、特に同族会社などでは、社長への貸付金があるケースがしばしば見られます。
なかには、金銭消費貸借契約を締結し、適切な利息を取っている貸付けもありますが、多くは、会社の預金から引き出した仮払金や立替金が返済されずに累積したものや、赤字が予想されるため経費の一部を社長が肩代わりし、経理上振り替えたものなどです。
これらの社長貸付金についても、利息を計上しなければなりません。
税法上、会社は利益追求を目的としているため、「利益にならないことはするはずがない」と考えられていますので、一定の利率より低い金利や無利息の場合には、一定の利率との差額が給与とみなされ所得税の対象となってしまいます。
そのため、給与とみなされないように、決算時には社長貸付金に対して認定利息を計上します。
この認定利息の利率については、次の2通りがあります。
(1)特例基準割合による利率
(2)銀行等からの借入利率
特例基準割合については、改正により平成26年よりかなり低い割合になっています。
改正前:公定歩合+4%
改正後:国内銀行の貸出約定平均金利の年平均+1%
平成22年~平成25年は4.3%だったのに対し、平成26年は1.9%、平成27年は1.8%となりました。
平成27年の特例基準割合による利率は1.8%ですので、1.8%に満たない利率で貸付けを行った場合、次の①から③に該当する場合を除き、1.8%の利率と貸し付けている利率との差額が、給与として課税されることになります。
① 災害や病気などで臨時に多額の生活資金が必要となった役員または使用人に、合理的と認められる金額や返済期間で金銭を貸し付ける場合
② 会社における借入金の平均調達金利など合理的と認められる貸付利率を定め、この利率によって役員又は使用人に対して金銭を貸し付ける場合
③ 1.8%の利率と貸し付けている利率との差額分の利息の金額が1年間で5,000円以下である場合
社長貸付金があると、金融機関からの印象が悪くなりますし、出来るだけ決算を迎える前に解消しておいた方が望ましいといえます。
また、社長借入金も多くの中小企業でみられますが、こちらは利息を付す必要はありません。
利益追求を目的とする会社に対して、個人は利益追求を第一目的としていませんので、無利息であっても問題にはなりません。

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