契約書を作成する場合、印紙が必要なのかどうか、いくらの印紙を貼ればよいのか、迷うことがあるのではないでしょうか?
印紙税が課税されるのは、印紙税法で定められた課税文書に限られています。この課税文書とは、次の三つのすべてに当てはまる文書をいいます。
① 印紙税法別表第一(課税物件表)に掲げられている20種類の文書により証明されるべき事項(課税事項)が記載されていること。
② 当事者の間において課税事項を証明する目的で作成された文書であること。
③ 印紙税法第5条(非課税文書)の規定により印紙税を課税しないこととされている非課税文書でないこと。
印紙税がかかるかどうかは、文書の標題や名称のみによって判定するのではなく、その内容によって判定されます。
次のような「業務提携契約書」を締結した場合、印紙税が課税になるかどうか、検討してみます。
① 甲・乙が情報を交換することにより、相互の事業の発展を目的とする。
② 甲・乙双方の協力により、それぞれの業務について契約が成立した場合には、成立した側が、協力手数料を支払う。
③ 協力手数料の金額、支払条件等については、個別に定め、別途、協議する。
まず、この契約は、当事者の一方がある仕事を完成することを約束し、相手方がその仕事の結果に対して報酬を支払うことを約束する契約ではありませんので、印紙税法別表第一の第2号の「請負に関する契約書」に規定する文書には該当しません。
次に、可能性があるのは、印紙税法別表第一の第7号「継続的取引の基本となる契約書」です。
第7号文書には、売買取引基本契約書、特約店契約書、代理店契約書、業務委託契約書などが挙げられます。
ただし、この契約は、業務を委託する内容ではなく、金額や支払方法を定めているものでもないため、第7号文書にも該当しないと考えられます。
印紙税法では、課税文書が掲げられてはいますが、課税文書に該当するかどうかの判断は、文書に記載されている個々の内容、その文言の実質的な意義などに基づいて判断しなければならないため、意外に難しいと思います。

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