平成28年度税制改正では、所得税が非課税となる「学資金」について、範囲の一部に見直しが行われています。
学資金とは、奨学金など、学資に充てるために給付される金品で、原則として非課税所得として扱われますが、学資金であっても「給与その他対価の性質を有するもの」は、給与課税の対象となります。
今回の改正では、この「給与その他対価の性質を有するもの」から「給与所得者がその使用者から受けるもので、通常の給与に加算して受けるもの」が除かれることとなりました。
① 非課税となるのは、通常の給与に加算して受けるものに限られ、通常の給与に代えて給付されるものは非課税となりません。
② 役員に対する学資金や、従業員の配偶者や親族等に対する学資金は、役員や従業員に対する給与として課税されます。学資金が配偶者や親族等に対して直接支払われている場合にも、従業員本人に対する給与として課税されます。
③ 学資金の支給を受けている従業員の配偶者や親族等が、その企業の従業員でもある場合には、特段の事情がない限り非課税所得として扱うことができます。
改正の背景には、厚生労働省の平成28年度税制改正要望「地方公共団体が医学生等に貸与した修学等資金に係る債務免除益の非課税措置の創設」があります。
地方自治体が設置主体である医療機関に勤務する医師が、その地方自治体から修学等資金の返還免除を受けた場合、その債務免除による経済的利益は給与課税となるケースがありました。
今回の改正により、この債務免除益は、「給与所得者(医師)がその使用者(地方公共団体)から受けるもので、通常の給与に加算して受けるもの(債務免除益)」に該当するものとして、給与課税されないこととなります。
平成28年4月1日以後に給付される学資金に適用されます。
改正の対象は、医師が受けた修学等資金に限定されていないため、一般の企業が従業員に対して支給する学資金にも適用できます。
ただし、法令上「学資金」の定義が明確に規定されていませんので、支給対象者、支給金額、支給の目的などを総合的に勘案して判断する必要があります。

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