所得拡大促進税制の適用を受ける場合には、3つの要件を満たす必要がありますが、新設法人で、給与等の支給額がある場合には、確実に適用要件を満たすことができます。
① 雇用者給与等支給増加額 ≧ 基準年度の雇用者給与等支給額×2%(増加割合)
新設法人の場合、「基準年度の雇用者給与等支給額」はありませんが、「設立事業年度の雇用者給与等支給額の70%相当額」で計算することができます。
上記の式に当てはめると、次のようになります。
・雇用者給与等支給額×30% ≧ 雇用者給与等支給額×1.4%(70%×2%)
つまり、雇用者給与等支給増加額は、雇用者給与等支給額の30%相当額となりますので、必ず適用要件を満たします。
② 雇用者給与等支給額 ≧ 比較雇用者給与等支給額(総額の比較)
前事業年度のない新設法人の場合、比較雇用者等支給額は0とされますので、必ず適用要件を満たします。
・雇用者給与等支給額 ≧ 0
③ 平均給与等支給額 > 比較平均給与等支給額(一人あたりの比較)
新設法人の場合、継続雇用者はいませんので、平均給与等支給額を計算する際の、「継続雇用者の給与等支給額」と「継続雇用者の給与等支給者数」はそれぞれ1とされます。
比較平均給与等支給額を計算する際の、「継続雇用者の給与等支給額」は0、「継続雇用者の給与等支給者数」は1とされます。
上記の式に当てはめると、次のようになり、こちらも適用要件を満たします。
・1/1 > 0/1
結果、新設法人の場合は、国内雇用者に対する給与等支給額があれば、必ず適用要件を全て満たすことになり、所得拡大促進税制を適用することができます。
また、要件③の適用については、一般被保険者である継続雇用者に対する給与等が対象とされます。
継続雇用者に対する給与等とは、適用年度及びその前年度に給与等の支給を受けた国内雇用者に対する給与等のうち、雇用保険法の一般被保険者に対する給与等をいいます。
小規模・零細企業の中には、従業員がいるにもかかわらず、雇用保険料を納付していない企業もあるかもしれませんが、雇用保険法の一般被保険者は、高年齢継続被保険者、短期雇用特例被保険者、日雇労働被保険者を除く被保険者とされており、雇用保険料の納付は適用要件とはなっていません。
そのため、雇用保険料の納付の有無にかかわらず、高年齢継続被保険者等に該当しない継続雇用者であれば、判定の対象になります。

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