年末調整の対象となる人は、本年最後の給与を支払う時点で「給与所得者の扶養控除等申告書」を提出している人で、本年分の給与総額が2,000万円以下である人です。
年末調整は、給与所得者各人ごとに本年中に支払の確定した給与の総額を対象として行うものであり、本年中の給与の総額が確定しない限り年末調整を行うことはできません。
本年中途で退職した人は、一般的には退職後に、再就職により他の会社等の給与を受けることが想定されますので、原則、中途退職の時点では年末調整を行わず、通常は再就職先で本年分の給与総額が確定した後に年末調整が行われます。
しかし、中途退職者であっても、次に該当する人は、退職後本年中に他の会社等から給与の支払いを受けることはないと考えられ、その退職時までの給与が本年分の給与総額となりますので、例外的に退職時に年末調整を行うことになっています。
① 死亡により退職した人
② 著しい心身の障害により退職した人で、本年中に他に再就職することは不可能と認められ、本年中に他の支払者から給与の支払いを受けることがない人
③ 本年12月分の給与の支払いを受けた後に退職した人
④ 本年分の給与総額が103万円以下のパートタイマー等で、退職後本年中に他から給与の支払いを受けないと認められる人
なかでも、上記④はよくあるケースだと思います。
家族の扶養になっている人が、パートタイムで働いている場合などで、給与総額が103万円を超えると控除対象配偶者や扶養家族に該当しなくなったり、会社からの家族手当の支給を受けられなくなったりするので、給与総額が103万円を越える前にパート先を退職するようなケースです。
この場合、退職時点において「扶養控除等申告書」を提出しており、給与総額が103万円以下、退職後に他の給与の支払いを受けることがないと見込まれる場合には、確定申告の手間を省略する観点から、その退職時に年末調整を行うことができます。
ですから、例えば10月に中途退職したパートタイマーが、上記の要件にあてはまる場合には、10月の退職時に年末調整を行えば、年調年税額は0となりますので、源泉徴収税額があれば預かった所得税を還付することができます。

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