国外財産の保有が増加傾向にあるため、国外財産に対する適正な課税環境を整備すべく、「国外財産調書」の提出が平成25年分より始まりました。
対象者は、居住者(非永住者を除く)で、その年の12月31日において、その財産の邦貨換算後の合計額が5,000万円を超える国外財産を有する方です。
また、国外財産に関する確定申告を行う場合には、税目ごとに邦貨換算の方法が定められています。
① 相続税・贈与税
相続や贈与により国外財産を取得した場合、相続税・贈与税の申告に係る邦貨換算は、課税時期(相続の場合は被相続人の死亡の日、贈与の場合は贈与により財産を取得した日)現在における納税者の取引金融機関が公表する対顧客直物電信買相場(TTB)又はこれに準ずる相場により行います。
対顧客直物電信買相場(TTB)とは、金融機関が顧客から外貨を買って円貨を支払う場合(顧客側にとっては外貨を円貨に交換する場合)の相場をいいます。
課税時期にその相場がない場合には、課税時期前の相場のうち、課税時期に最も近い日の相場によります。
② 所得税(譲渡所得)
個人が外貨建資産や国外財産を譲渡したことによる確定申告を行う場合は、その外貨建取引を行った時点の外国為替の売買相場により換算した金額とします。
具体的には、取引日における対顧客直物電信売相場(TTS)とTTBの仲値(TTM)を基準に行います。
対顧客直物電信売相場(TTS)とは、金融機関が顧客から円貨を買って外貨を支払う場合(顧客側にとっては円貨を外貨に交換する場合)の相場をいいます。
③ 所得税(事業所得・不動産所得・山林所得・雑所得)
外貨での資産の販売・役務の提供や、外貨での資産の購入を行っている方が、事業所得、不動産所得などの確定申告を行う場合、収入・支出金額を計算する際には、原則、TTMを適用します。
ただし、継続適用を条件として、売上その他の収入又は資産については取引日のTTB、仕入その他の経費又は負債については取引日のTTSによることができます。
また、基準とするTTB、TTS、TTMについては、原則として納税者の取引金融機関が公表するものとしていますが、これも、継続適用を条件に、合理的なものを基準とすることも認められています。
合理的なものとは、例えば、新聞等で定期的に公表されているような為替相場を指します。
ただし、基準とする為替相場を取引ごとに選択することはできません。
今後は、国外財産調書の提出によって、国外財産に係る相続税・贈与税・所得税の申告が増えてくることが見込まれています。

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