研究開発税制というと、試験研究費の額が大きい大企業向けのイメージがありますが、中小企業でも適用することができます。
研究開発税制は、次の4つの制度から構成されています。
①試験研究費の総額に係る税額控除制度
②特別試験研究に係る税額控除制度
③中小企業技術基盤強化税制
④試験研究費の額が増加した場合等の税額控除制度
このなかで、中小企業者の試験研究費の額の一定割合を法人税額から控除する「③中小企業技術基盤強化税制」は、中小企業者向けの制度として比較的、利用しやすいものとなっています。
中小企業技術基盤強化税制の特別控除額
試験研究費の額×12% 又は 法人税額×30% のうちいずれか少ない金額
ほかの試験研究費の特別控除制度は、適用要件の判定や税額控除額の計算が少し複雑ですが、中小企業技術基盤強化税制は、試験研究費の額に12%を乗じるだけで計算ができ、簡単です。
また、上記①、②とは重複適用できませんが、税額控除額は基本的に中小企業技術基盤強化税制の方が有利に計算されるように設定されていますので、試験研究費がある中小企業にとっては、有効な制度となっています。
試験研究費とは、製品の製造または技術の改良、考案もしくは発明にかかわる試験研究のために要する費用で、①~④が該当します。
①試験研究を行うために要する原材料費、人件費および経費
②試験研究のために外部に支払う委託研究費
③技術研究組合に支払う賦課金
④試験研究のために使用する減価償却資産の減価償却費
上記以外にも、企業、大学、公的研究機関などとのいわゆる産学官連携による共同研究や委託研究の費用も対象になります。
税額控除の対象となるのは、上記の費用のうち、法人税法上の損金となるものに限られます。
従って、会計上費用として処理した金額でも、交際費や寄付金などの申告調整された金額は、所得金額の計算上、損金の額に算入されませんので、試験研究費の対象から除外されます。
決算書で「試験研究費」や「研究開発費」として計上したものが、そのまま対象となるわけではありませんので、注意が必要です。

当法人は当業務日誌で発信した情報について正確な情報をお伝えするように努力をしますが、誤り・正確さ・取引の正当性などについては、当法人およびその情報提供者は一切の責任を負いません。

記事を読まれた方又は第三者が当該業務日誌に記載されている情報などに基づいて被ったとされるいかなる損害についても、当法人およびその情報提供者は損害賠償その他一切の責任を負担致しません。

記事の内容についてのご質問はお問い合わせのページよりお願いいたします。

ご質問の内容によっては有料でのご対応、もしくはご返答いたしかねる場合がございますので、あらかじめご了承ください。