インターネットバンキングのIDやパスワードが盗まれ、銀行口座から預金が不正に引き出される被害が今年1月から9月までに615件、計約5億5千万円に上っており、すでに、年間ベースの過去最多を超えているそうです。
また、キャッシュカードなどの磁気記録情報を不正に読みだして、預貯金を引き出されるいわゆる「スキミングによる不正出金」や、相手に騙されて振込をしてしまう「振り込め詐欺」などの被害も後を絶ちません。
このような理由などにより損失が生じた場合、税金面での救済は受けられるでしょうか?
このうち、「ネットバンキングの不正送金」と「スキミングによる不正出金」については、一般的には「雑損控除」の対象となるようです。
雑損控除とは、災害・盗難もしくは横領といった、本人の意思に基づかない事由により損失が生じた場合に適用が限られています。
「ネットバンキングの不正送金」も「スキミングによる不正出金」も、どちらも、本人の意思に基づかず、盗難により現金を盗られた場合と同様であるとして、雑損控除の対象となります
では、「振り込め詐欺」はどうでしょうか?
「振り込め詐欺」の場合は、誤った意思決定ではあるものの、本人の意思に基づき損失が発生が生じているといえるため、「災害又は盗難若しくは横領による損失」には当たらないとする裁決事例が出ています。
残念ながら「振り込め詐欺」は、雑損控除の対象にはなりません。
雑損控除を適用する場合、損害額から補てん金額を差し引いた損失額が対象となります。
また、不正送金や不正出金の被害にあったことにより雑損控除を適用する場合には、銀行を経由して警察から発行される被害届出証明を申告書に添付する必要がありますのでご注意ください。
とはいえ、被害にあわないことが一番ですので、慌てないで、まず確認をとることを心掛けたいですね。
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