社会保険の適用事業所で常時使用される方(健康保険は75歳未満、厚生年金は70歳未満)は、健康保険・厚生年金保険の被保険者となります。
また、パートタイマーであっても、労働時間と労働日数が次のとおり、それぞれ一般社員の4分の3以上であるときは、原則として被保険者とされます。
二か所以上の事業所で雇用されている場合、どちらも被保険者の要件を満たす一般社員は稀だと思いますが、役員の場合は要件を満たすことがあり得ます。
役員の被保険者の考え方は、「役員であっても法人から労務の対償として報酬を受けている者は、法人に使用される者として被保険者とする」とされており、次の要素から判断することとされています。
① 定期的な出勤の有無
② 役員会の出席の有無
③ 従業員に対する指揮監督の状況
④ 役員との連絡調整の状況
⑤ 法人に対する意見などの影響力
⑥ 法人からの報酬の支払いの実態
二つ以上の事業所において被保険者となる場合、「被保険者所属選択届・二以上事業所勤務届」を提出することになります。
この届出は、主たる事業所および管轄年金事務所を選択するもので、事実発生の日から10日以内に提出します。
二つ以上の事業所で被保険者資格を取得する場合、保険料の算定基礎となる標準報酬月額はどのようになるでしょうか。
各事業所の報酬が合算された額が報酬月額とされます。
その報酬月額に基づき決定された標準報酬月額により算出された保険料額を各事業所の報酬月額の比率で按分し、それぞれの事業所に請求されることになります。
例えば、A社30万円、B社20万円の場合は以下のように計算します。
報酬月額(合算額) 300,000円 + 200,000円 = 500,000円
標準報酬月額    500,000円
保険料
A社 500,000 × 保険料率 × 300,000/500,000
B社 500,000 × 保険料率 × 200,000/500,000
それぞれの会社で、保険料額表通りの金額ではなくなるので、注意が必要です。
また、標準報酬の上限を超えてしまっている場合でも、届出を提出しておいたほうが確実と思います。

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