①契約形態
従業員は会社と「雇用」関係にあり、業務命令や規定のもと、業務を行います。
雇用主である会社と従業員では、文字通り、主従の力の差が存在します。
そのため、弱者である労働者保護の観点から、労働条件の最低基準を定めた労働基準法があります。
原則として、1人でも労働者を雇用する会社や事業主は、労働基準法が適用されます。
一方、取締役などの役員は、会社と「委任」関係にあります。
役員は、株主総会において選任され、株主から会社経営を委任されます。
お互いいつでもこの委任関係を解除できるので、力関係は対等といえます。
労働基準法では「労働者」と「使用者」が定義されているのですが、役員は「使用者」に該当します。
つまり雇用主側となりますので、一般的に労働基準法の保護はありません。
②責務
先述の通り、会社と従業員は雇用関係ですので、従業員は会社に対して労働の義務を負います。
一方、取締役などの役員は、会社経営の意思決定や業務執行について権限を持っています。
技術ノウハウや経営状態等の機密事項を知りうる立場にあるがゆえ、役員には善管注意義務と忠実義務が課されています。
もし、これらの義務に違反して、会社や第三者に損害を与えた場合には、損害賠償責任を負うことになります。
③給与・報酬
従業員は、労働の対価として給与を受け取ります。
例えば、残業すれば残業手当が付与されますので、働いたら働いた分給与に反映されます。
よって、従業員の給与は毎月変動するのが一般的です。
残業など時間を基に給与を計算するため、締め日が定められており、中途入退社の場合の給与は日割り計算をするのが普通です。
また、労働基準法で定められた労働者の権利として、有給休暇を取得できます。
一方、取締役などの役員は、委任の対価として報酬を受け取ります。
会社経営の中枢にいる役員は、自身の報酬を調整することによって、会社の利益をコントロールすることが可能です。
そのような節税を防止するため、原則として、役員報酬は1年間同額にしなければ経費として認められません(定期同額給与)。
また、従業員のような締め日の概念がないことと、定期同額給与の基準を満たさなくなってしまうため、日割り計算は行いません。
賞与についても従業員の場合は経費となりますが、役員に対して支払う賞与は、原則として経費になりません。

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