平成24年度の税制改正で「国外財産調書制度」が導入されました。
この制度は、平成26年1月1日以後に提出すべきものから適用されます。
●制度の概要
この制度は、毎年12月31日時点で国外財産を5000万円超保有している者は、その国外財産の種類や価額等を記載した調書を作成し、翌年3月15日までに税務署長に提出しなければならないというものです。
ここでいう財産とは、現預金だけでなく、株式、債券、動産、不動産等、海外に所在するあらゆる財産をいい、債務は含まれません。
平成26年1月1日以後から適用される制度ですので、第1回目は、平成25年12月31日現在において5000万円を超える国外財産を有する者が調書を作成し、平成26年3月17日までに提出します。
(3月15日が土曜日のため、翌週の月曜日が提出期限となります。)
●提出義務者
国外財産調書の提出が必要となる者は、その年の12月31日時点で、5000万円を超える国外財産を有する「非永住者以外の居住者」とされています。
※ 所得税法では、「居住者」及び「非永住者」について次のように定義しています。
「居住者」 …国内に住所を有し、又は現在までに引き続いて1年以上居所を有する個人
「非永住者」…居住者のうち、日本の国籍を有しておらず、かつ、過去10年以内において国内に住所又は居所を有していた期間の合計が5年以下である個人。
つまり、日本国籍を有し日本に住所を有している者はもちろん、日本国籍ではなくても、現在まで引き続き日本に5年以上住所を有している外国籍の方にも提出義務があります。
なお、法人については、この制度の対象外ですので、提出義務はありません。
●財産の評価
国外財産の価額については、その年の12月31日における「時価」又は「見積価額」によって評価します。
また、日本円の換算については、12月31日における「外国為替の売買相場」によることとされています。
●優遇と罰則
(1)優遇規定
「国外財産調書」を提出した場合で、記載がある国外財産について所得税または相続税の申告漏れ等があったときは、過少申告加算税または無申告加算税が5%軽減されます。
(2)罰則規定
「国外財産調書」を提出した場合で、記載のない国外財産について所得税または相続税の申告漏れ等があったときは、過少申告加算税又は無申告加算税が5%加算されます。
また、国外財産調書を提出しなかった場合や虚偽の記載をした場合には、1年以下の懲役または50万円以下の罰金とします(情状免除規定あり)。

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