人事賃金制度は企業を取り巻く環境に適応した戦略性を備えていることが重要性を持っており、そのため自社の経営理念・ビジョン・戦略を実現する従業員の意識・行動を引き出すメッセージ性を持っていること、全員が主体性と意欲をもち、自己の課題や能力向上に真剣に取り組む会社の期待が明示された賃金制度をもっていることが必須条件です。
N社の定年延長実施例
部品メーカーのN社は、社会環境の変化、旧制度が抱えていた問題点を踏まえ、25年ぶりに、2017年4月より、人事制度を改定しました。
改定の背景
同社の人事制度は1992年制度改定以来、約25年続いてきたがこの間の社会変化(少子高齢化、生産年齢人口の減少が進み、年金受給開始年齢の延長、65歳までの雇用義務化、女性活躍推進と、人を取り巻く労働者環境が大きく変化。)
・グローバル生産体制が進み、売上・利益とも海外比率が高まってきた。
今後更に事業をグローバルに展開していくとともに、将来の成長に不可欠な新事業・新製品の創出を推進していく上で、これまで以上に社員本人は、その中核を担う役割を期待される。
いかにベテラン層から若手・中堅層の全ての従業員の活躍を導き出すかが、人員構成上の大きな課題。
新人事制度の狙い
「自ら積極的にチャレンジする社員に活躍の場を提供、その頑張りに報いる」こと。
・旧制度では、昇給や昇格にあまり差がつかない年功的な面があったが、資格制度、評価制度を見直し、チャレンジし成果を挙げた従業員に報い、一人ひとりの「やる気」を引き出す制度の実現を目指す。
・もう1つの狙いは、「これまで以上に安心して働き続けられる環境を整える」こと。年金の支給開始年齢引き上げや介護負担の増大に直面するベテラン層が、安心して65歳まで変わらない働きができるように定年延長を行い、「安心感」を高めること。
このように「従業員自らが意欲を高めチャレンジし、その能力を十分発揮できる環境を整えること」。
その頑張りにこれまで以上に報いることのできる制度で、「やる気」を後押しすることと、定年延長により「安心感」を確保することの両立を目指しました。
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