現業を伴う職種と外国人採用の難しさ
外国人労働者の活躍が増える今、外国語によるコミュニケーションに悩む日本企業は少なくありません。
「今やアルバイトのほとんどが留学生。もう少し外国語で指導教育をしたいのだが」、
「日本語を話せる外国人スタッフが一人でもいれば、もっと外国人採用を積極的に行いたいのに」、
こうした声は、人手不足に悩む多くの現場で聞かれます。
しかしながら、外国人労働者を採用するためにあらかじめ日本語ができる外国人スタッフを雇用するには、これまでとても高いハードルがありました。
一般的な「技人国ビザ」での限界
外国人労働者が企業で勤務する場合、ほとんどが「技術・人文知識・国際業務」という在留資格(以下、技人国ビザ)を申請します。
この技人国ビザで行うことができる代表的な職務内容に「通訳・翻訳」があるのですが、ビザの申請に際しては「十分な業務量があること」が非常に重要な審査のポイントです。
また、この技人国ビザでは、いわゆる「現業」と言われる実地の仕事や外国語を使わない接客業は、原則的に認められていません。
こうなると、たとえば工場労働を行う製造業や、飲食店等の接客業で、他の外国人労働者へ通訳・翻訳を伴う指導教育をしつつ、自分自身も現業を行うといったケースだと技人国ビザは認められないことになります。
新たな特定活動ビザで期待が高まる
こうした中、今年5月に発表された日本の大学・大学院を卒業した方向けの「特定活動ビザ」では、大学等において修得した知識と、日本語能力試験N1レベルの高い日本語能力を活用することなどを要件として、現業を伴う活動内容も認められるようになりました。
先述した飲食店や工場での例のほかにも、たとえば「タクシー会社に採用され、集客のための企画・立案を行いつつ、通訳を兼ねた観光案内を行うタクシードライバーとして活動すること」や「介護施設で外国人従業員や技能実習生への指導を行いながら、外国人利用者を含む利用者との間の意思疎通を図り、介護業務に従事すること」、なども想定されています。
これまで外国人採用が極めて困難だった業界でも、今後は外国人労働者の活躍が期待できるかもしれません。
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