平成30年3月に「収益認識に関する会計基準」が公表されました。

これを踏まえ平成30年度税制改正において資産の販売等に係る収益に関する規定の改正や、法人税法における収益の計上時期等についての改正が行われました。

 一方で、中小企業の会計処理については、従来どおり企業会計原則等による会計処理が認められることとされています。

では、中小企業は公正妥当な企業会計を実現するためどういった会計基準に準拠すべきなのでしょうか。

会計の目的

会計の目的は、株主や会社債権者といった利害関係者に対して会社の財政状態や経営成績に関する情報を提供することにあるとされています。

また、適正な会計基準に基づく計算書類を作成することは、経営判断や融資判断にも欠かせません。

公正妥当な企業会計とは

平成17年に制定された会社法は、株式会社の会計について431条で「一般に公正妥当と認められる企業会計の慣行」に従うべき旨の包括規定を設けています。

株式会社の会計については、多くの事項が会社計算規則に委ねられています。

このため、会社計算規則に規定されていない事項については「一般に公正妥当と認められる企業会計の慣行」として個別の会計基準や実務指針に基づき処理されることとなります。

「指針」と「要領」

中小企業の会計ルールとして、会計参与制度の創設に伴い平成17年に「中小企業の会計に関する指針」が公表されました。また、平成24年には中小企業の会計に関する検討会によって「中小企業の会計に関する基本要領」が公表されました。

「指針」は、一定の水準を確保しつつ利用しやすいものとなるよう毎年見直しが行われています。

「要領」は、主に比較的小規模な企業を対象としているため、「指針」と比較して記載内容が必要と考えられる範囲に限定されている点には留意が必要ですが、日本税理士会連合会が作成しているチェックリストを活用することで、計算書類が要領に準拠しているかを確認することができます。

いずれも中小企業の会計の質の向上のためわかりやすく解説されていますので、両者の違いを理解したうえで広く活用されることが期待されています。

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