定年延長は、労働法令の改正に基づく改定を実施するのみでなく、この機会に「企業理念」を踏まえて、外部・内部の事業環境に巧みに適応し、競争力を高める人事施策でなければなりません。

その好事例を紹介しましょう。

H社の定年延長事例 [.H社のPhilosophyと人事制度の考え方]

基本理念の第一は[人間尊重]。

それぞれが自立した個人の個性を尊重し合い、平等な関係に立ち、信頼し、持てる力を尽くしていきたいという考え方。
人事制度も、その基本理念を受け、自立に基づく「主体性の尊重」、平等に基づく「公平の原則」、信頼に基づく「相互信頼」の3原則を定め、年齢・学歴・性別等の区別なく、従業員一人ひとりをその能力と努力に支えられたありのままの姿で捉え処遇する。

[総合的労働条件見直しの背景]

人事制度の改定の背景は、「事業環境の変化による経済的側面」と「人を取り巻く環境の変化」の2つの大きな変化。

リーマンショックを機とした自動車産業を取り巻く環境が激変。従来の延長線上の変化ではなく、構造自体が大きく変化。市場拡大の中心地は新興国ヘシフト、国内の四輪市場は縮小傾向、海外輸出も減少するなど、従来のビジネスモデルは通用しなくなった。

グローバルでH社の存在価値を高める中期方針のもと、日本H社に求められるものは、一人ひとりが生き生きと働き、アウトプットをー段と高め、競争力をさらに向上させること、すなわち「人競争力の強化」。

[人を取り巻く環境の変化]

日本国内における社会の変化は、少子高齢化や共働き世帯の増加など、人口構造や生活スタイルが多様化。

近年10年間の女性従業員数の増加、50歳以上のベテラン従業員比率の上昇など、要員構造が変化。

また、少子高齢化に伴い介護を担う従業員の増加や60歳以降の再雇用者の増加など、従業員の多様化も進行。

今回の制度改定を成し得たポイントは、将来視点で大局的に検討したこと、労働条件だけでなく職場課題への対応も併せて実行してきたこと。

これらに労使が本音本気で議論し、従業員への丁寧な説明を双方が粘り強く行ってきたこと。
 

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