調査後の決定等に不服申し立てができる

税務調査等で税務署長が行った更正などの課税処分や、差押えなどの滞納処分に不服があるときは、処分の通知を受けた日の翌日から3か月以内に、税務署長に対して「再調査の請求」を行うことができます。

また、再調査の決定から1か月以内であれば、国税不服審判所に対しての審査請求を出すことができます。

国税不服審判所は、国税庁の特別な機関であり、法律に基づく処分についての審査請求に対して、公正な第三者的な立場で採決を行うとされています。

また、再調査を請求せずに、国税不服審判所に対して審査請求を行ったり、再調査の結果が3か月経っても出なければ結果を待たずに審査請求をすることもできます。

勝ちの目は少ない戦い?

国税庁は過去年度の再調査等の発生状況を公表しています。

内容を見てみると、平成30年度の再調査の処理件数は全体で2,150件。

その中で、一部容認が237件、全部容認が27件となっています。

一部もしくは全部、納税者側の訴えを認めた割合は12.3%となっています。

国税不服審判所へ申し立てた審査請求の処理状況を見てみると、平成30年度の処理件数は2,923件で、一部・全部が容認された合計数は216件です。

納税者側の訴えを認めた割合は7.4%となっています。

訴訟もできるが勝てるかは別

国税不服審判所の裁決から6か月以内であれば、裁判所に対して訴訟が可能です。

こちらの終結状況も公表されていますが、平成30年度に終結した全体数177件に対して納税者側一部・全部勝訴の全体数は6件、割合にして3.4%となっています。

再調査に関して言えば、「処分内容を精査したらこれはミスだった」等の指摘もあるでしょうから、そういった訴えで容認割合が比較的高いことが考えられます。

不服審判所や裁判所まで行くケースであると、税法の解釈や過去の判例等、税理士や弁護士があらゆる論拠を持って戦っても、決定について覆されるケースは少ないようです。

ただ、不服申し立てをしたからといって、納税者が決定以上に不利になることはありません。

根拠があり「間違っているのでは」と照会するのは悪いことではありませんから、税務署の処分に納得がいかない場合は、専門家に相談の上、まずは再調査の請求を検討してみてはいかがでしょうか。

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