収益認識変更の経緯

収益の認識に関する新しい国際会計基準(IFRS15号)が2014年5月に公表され、国際的には2018年1月1日以後開始される事業年度から適用されることとなりました。

これを受け日本の企業会計基準委員会は2018年3月30日にIFRS15号を全て取り入れた会計基準を公表しました。この基準は2018年12月31日以後終了する事業年度から適用可能となり、2021年4月1日以後開始する事業年度からは強制適用となります。

ただし、この規定は上場企業等監査対象法人に強制適用されるものであり、中小企業には従来の会計処理も認めております。

税務当局の対応

会計基準の変更を受け税務当局も2018年の税法の改正で法人税法22条に「その2」を創設しました。同時に法人税法施行令18条にも「その2」を創設しました。

いずれも2018年4月1日以後終了する事業年度から適用されます。

国税庁は2018年5月に『「収益認識に関する会計基準」への対応について』と題した解説を公表しました。

基本的にはIFRS15号の収益認識に沿ったものとなっております。

返品調整引当金の廃止

新設の法人税法22条の2第5項において、資産販売時の対価の額には、貸倒れや買戻しの額を考慮しないと明文化されましたので、返品調整引当金は10年間の経過措置(1/10ずつ限度額を引き下げる)を講じて廃止となりました。

長期割賦販売等の延払基準の廃止

新設の法人税法22条の2第1項において資産の販売等の収益の額は、目的物の引渡しの属する事業年度の益金の額とする、とされましたので、延払基準の収益認識は2023年4月までの経過措置等を講じて廃止されることとなりました。

その他、影響は多岐にわたります

中小企業に関しては、従来通りの会計処理も認められますので、従来通りの収益認識でも構わないのですが、ポイント付与の場合の売上処理や、一定期間に及ぶ役務の提供の場合の売上処理等、新しい会計基準の方が収益の認識が少なくなるケースもあります。

この機会に見直してみるのも良いかと思われます。

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