サモンズ(summons)

日本と異なり、アメリカには、裁判所の召喚状に基づいて行う税務調査(summons サモンズ)があります。

サモンズの対象者は、決められた日時と場所へ要求された帳簿または記録を持って出頭し、宣誓のもとに証言することが要求されます。

聴聞官は、質疑応答形式で聴聞を行います。

出頭者には、日当及び旅費及び提出資料のコピー代が支給され、助言者又は代理人を随伴する権利があり、録音機等の携帯も許されます。

サモンズの威嚇力の強大さ

裁判所の召喚命令に従わない場合、アメリカ内国歳入庁の申立てにより、裁判所は、身柄拘束令状を発して名宛人を引致して、サモンズに従うように強制する命令を下し、その命令が履行されないときは、裁判所侮辱罪の範囲内で、その名宛人を処罰することになり、さらに、これとは別に、「1,000 ドル以下の罰金又は1年以下の懲役に処し、又は併科する。」という行政刑罰も設けられています。

サモンズは非効率として忌避されている

サモンズの税務調査の手段としての有効性は認められているものの、サモンズを発出した場合は、常に、訴訟に備えての税務調査体制を採らざるを得ず、訴訟に至らないことが多かったとしても、調査における税務職員の訴訟に向けた資料蓄積と注意力を集中させた労働とが課せられることになり、非効率行政となる結果をもたらしているので、実際は、極力サモンズを使わずに、サモンズを臭わせるプレサモンズ・レター止まりにしているようです。

日本の税務調査

国税庁の直近の発表での税務調査の件数は、法人税調査97千件(法人税申告総件数2861千件)、所得税調査34,846件(申告人数2,198万人)、相続税調査12,116件(申告件数136,891件)となっており、調査件数の割合を増やすのは大変なことだと推測されます。

その中で、マル査の年間着手件数は174 件で、告発率は69.3%です。

日本にもサモンズの導入ができないか、との検討は以前からなされていますが、裁判所の協力が前提の制度は、ほとんど不可能との見方がされており、税の執行面でも、さらに手を煩わす制度はアメリカ以上に忌避されることになりそうです。
          

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