金融庁要望の「NISA恒久化」は持越し

平成31年度の税制改正大綱では、消費増税への対応に比重がかけられたため、金融・証券税制の分野については、脇に置かれた感があります。

金融庁が要望していた「NISA制度の恒久化」「金融所得課税の一体化」などは実現に至りませんでした。

それでも、

①NISAの利便性向上(海外赴任時の継続利用・利用開始年齢の引下げ他)

②投資信託等の内外の二重課税の調整措置

③レポ取引に係る利子の非課税措置の延長

④マイナンバーに関する所要の措置

などが改正される予定です。

NISA口座保有者が出国した場合の特例

NISA(一般NISA・つみたてNISA・ジュニアNISA)は、国内居住者の少額投資を非課税とする制度としてスタートしたため、居住者が海外転勤等により一時的に出国する場合には、NISA口座で保有している金融商品は一般口座(課税口座)に払い出されていました。

また、帰国後においても、一般口座に一旦払い出された金融商品をNISA口座に戻すことはできませんでした。

そこで、次の手続きを行った出国者については、国内居住者とみなしてNISA口座を最長5年間にわたり、継続利用できることとしました。

(一時的な出国による場合の特例)

継続適用届出書の提出

出国日の前日までに取扱金融機関に転任の命令その他やむを得ない事由により出国する旨等を記載した継続届出書を提出

帰国届出書の提出

取扱金融機関に帰国した年月日、非課税口座に再び上場株式等を受け入れる旨を記載した帰国届出書を提出

なお、出国から帰国までNISA口座の保有はできますが、この間(最大5年間)、新規買い付けはできません。

また、その出国につき「所得税の国外転出時課税」を受ける場合には、適用を受けることはできません。

NISA利用開始年齢の引下げ・利便向上施策

民法の成年年齢が引き下げられることに伴い、NISAの口座開設が可能な年齢も20歳から18歳に引き下げられることになりました。平成35年1月1日以後の口座開設より適用されます(経過措置あり)。

大綱には、その他にもロールオーバー移管依頼書の手続きの簡素化、一般NISAとつみたてNISAの切り替え手続きの簡素化など利便向上の施策が盛り込まれています。

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