タワーマンション節税退治の実効性
タワーマンション節税退治として法改正されたのは、固定資産税評価額の階層間調整だけでした。
これでは、野放し状態ではないか、国税当局には、タワマン節税退治をする気がないのだろうか、安倍内閣の景気対策にそぐわないということで政治的圧力があるとか、相変わらずの忖度が機能しているのかとか、穿った見方も出てくるところです。
総則6項の発動を予定している?
国税には、財産評価通達の総則6項という切り札があり、これを発動して、著しく不当な評価になるとして、タワマンについて、評価通達適用を排除できるのだから、タワマンの相続税対策利用はリスクが大きい、と宣伝もされています。
しかし、総則6項は国税庁長官の指示を受けて評価するので、実際に、いちいち長官指示を仰ぐような作業は滅多にはできません。
総則6項が発動されるのは稀なのです。
相続直前取得または相続時精算課税贈与のタワマンをその後短期間で譲渡しているようなケースに限られています。
総則6項の代わりになるもの
また、切り札の一つに、負担付贈与通達があります。
これには、「負担付贈与又は個人間の対価を伴う取引により取得したものの価額は、当該取得時における通常の取引価額に相当する金額によって評価する」と書かれています。
これに拠って、親族間の相続税評価額での譲渡に対し、通常の取引価額との差額に贈与税を課し、譲渡損があれば、これを無いものとみなす、との対応をしています。
配偶者終身居住権改正法の施行
配偶者居住権に関する改正民法の施行は公布後2年以内となっています。
ただし、この権利は、居住権という債権についての特別な規定として創設されたものです。
債権は、契約自由の原則により、当事者間で自由にその内容を定めることができます。
従って、改正法施行前でも、契約により、配偶者終身居住権のようなものを実質的に実現することは可能です。
終身居住権が第三者に対抗できるような法律構成になるようにして登記すれば、通常の取引価額は自ずと低下し、上記の負担付贈与通達適用などへの対抗力を持つことになります。
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