株式保有特定会社通達を変えた判決

取引相場のない株式の発行会社の資産構成が株式の割合50%以上だと、株式保有特定会社とされ、類似業種比準価額方式の適用不可、純資産価額方式のみの評価とされています。

なお、平成25年前においては、株式保有割合25%以上が株式保有特定会社とされていましたが、東京高裁平成25年2月28日判決において、平成9年の独占禁止法改正後、上場会社における株式保有状況が大きく変化し、平成15年度の上場会社の株式保有割合25%を偏差値で示すと58.1となり、上場会社の中で全体の15%に相当する会社において株式保有割合が25%以上となっているとし、株式保有割合25%という数値は、もはや資産構成の著しい偏りと評価できない、と判示されました。これを承けて50%以上と改正されました。

相互持合い株式の評価計算
この高裁前の、審判所での裁決、地裁での判決をみると、係争事案は株式相互持合会社の評価に係るものであったため、相互持合いの場合の純資産価額方式の計算の仕方を、当局側見解として披瀝しています。

A社とB社の相互持合いで、

①A社が所有するB社の株式の評価額(X)は、B社の純資産価額(b+Y)に持株割合(α)を乗じたものとなる

 X=α(b+Y)

②B社が所有するA社の株式の評価額(Y)は、A社の純資産価額(a+X)に持株割合(β)を乗じたものとなる

 Y=β(a+X)

このXとYの2つの算式は、αやβ、aやbが実数なので、2元一次連立方程式として解くことができる、としています。

これと同じ解説は、大阪国税局WAN質疑応答事例として公表の事例番号1559に収録されており、そこには、AB共に純資産価額評価の場合、片方が類似評価併用方式の場合、両方が類似評価併用方式の場合が示されています。

算式は、どんどん複雑になっており、これが、2社ではなく沢山の会社の相互持合いだったら、その数倍またはその倍数倍の連立方程式になるので、手計算で解くのは困難です。

ただし、併用でない類似業種比準価格評価の場合には、株式の相互持合いは計算要素に入って来ないので、連立方程式とは無縁で済みます。

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