ちょっとだけ話題になった独身税

ある市と財務省の意見交換会で出た「独身税」という発想が、「けしからん」とネット上で炎上しました。

意見交換中の「子育て世帯は税負担が大変だから、独身者にお願いする事はできないですかね」「なかなか難しいですね」、という会話の一幕だったのですが、「独身者からお金をとったらますます結婚から遠ざかって少子高齢化が進み、結果さらにお金が集まらなくなる」という理性的な批判から「子育て世代が独身からカネをむしり取るのか」といった感情的な意見まで、様々な声が寄せられたようです。

自治体で税を新しく作ることができます

地方自治体は、地方税法に定める税目(法定税)以外に、条例によって税を新設することができます。

「法定外税」と言われるものですが、石油価格調整税や、遊漁税、産業廃棄物税等、地方自治体が独自に制定しているものは意外と多くあります。

最近で言うと国内外から大量の観光客がやってくる京都市で有識者委員会が宿泊税を導入すべきだとの答申を出しています。

制定した税金は市の予算に組み込まれ、観光を支える環境整備や観光振興施策の源泉として使用される見込みです。

このように「何かの目的の財源に使用する」税を目的税と言います。

独身税が目的税だったら?

騒動の発端である会話をネット上の字面だけで捉えたら「子育て世代のために独身者が税を払って」と聞こえて、確かに批判も多くなるでしょう。

例えば自治体が「日本一既婚率が高い市にしよう!」と婚活施策を充実させて、その支援が目的の独身税であったならば、ネットが炎上するほどは批判が出なかったかもしれません。

なお、実際にブルガリアでは独身税が存在した時期があります。

1968年から89年まで独身税を導入していたものの、出生率は逆に低下して、成果を挙げているとは言えないものでした。

実際のハードルも高い

独身のみへの課税には懲罰的な意味合いも含まれることが懸念されるため、憲法の「婚姻の自由」を侵害する可能性もあります。

仮に地方自治体が法定外税の制定決議を行っても、総務大臣や地方財政審議会の同意が無ければ制定できないため、独身税は「なかなかハードルが高い」ということになります。

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