改正の中心は、恒久的施設(PE)の見直し、外国子会社合算税制等の見直しです。
その主な内容について概観してみます。
恒久的施設(PE)の定義の見直し
恒久的施設(PE)とは、事業を行う一定の場所(支店、工場、一定の代理人、一定の建設現場等も含む)で、国際課税のルールでは、原則、PEがなければ課税はされません。
しかし、このPEの認定要件を人為的に外すことによって課税回避が行われてきました。
そこで、今回、
①代理人PEの範囲について、外国法人等の資産の所有権移転等に関する契約の締結に関する業務を反復して行う者を追加し、また、本来、PE該当外の独立代理人は、密接な関連を有する外国法人等に代わって行動する場合にはPEと認定する。
②保管、展示、引渡し等の活動のみをする一定の場所に関して、その活動が外国法人等の事業遂行上の準備的・補助的な性格を有する場合にはPEと認定する。
③建設現場は、PE認定回避を主目的として契約期間を1年以内に分割した場合は、当該期間を合計してPEを認定する。
その他、租税条約上のPEの定義と異なる場合の調整規定等の整備をしています。
適用は、平成31年分以後の所得税及び平成31年1月1日以後に開始する事業年度分の法人税からです。
外国子会社合算税制等の見直し
この税制は、租税回避防止の観点から、一定の条件に該当する外国子会社の所得を日本の親会社の所得とみなして合算するものですが、見直し案では、一定の株式譲渡益については合算の適用対象金額から控除するとしています。
具体的には、日本の親会社が海外の会社を買収、それによって傘下に入った特定外国関係会社等(対象外国関係会社を含む、所謂ペーパーカンパニー)を整理、組織再編するにあたり、当該特定外国関係会社等が有する一定の外国関係会社の株式等を、一定の期間内及び一定の条件で当該特定外国関係会社等に係る外国関係会社等に譲渡した場合に、その譲渡により生ずる利益の額を、当該特定外国関係会社等の適用対象金額の計算上控除する、といったものです。
その他、金融持株会社について、事業基準を満たすとするいくつかの改正がなされています。
適用は、外国関係会社の平成30年4月1日以後に開始する事業年度からです。
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