役員報酬の支払いにはルールがある
役員報酬の決め方・支払い方には、一定のルールがあります。
簡単にいうと「あらかじめ決定した一定額を毎月支払うこと」。
従業員の給与と異なり、役員報酬は原則として一度決めた報酬をその事業年度の間は変えることができません。
このルールを守らない場合、法人税の計算上、一定額を損金とすることができません。「定期同額給与」に該当しないこととなるからです。
法人税法の「定期同額給与」とは?
定期同額給与」とは、「定期」かつ「同額」の給与をいい、損金に算入されます。
定期 支給時期が1月以下の一定の期間ごとであること
同額 その事業年度の各支給時期における支給額が同額であること
ただし、①通常改定(期首から3か月までの改定)、②臨時改定事由(職制上の地位の変更、職務内容の重大な変更)による改定、③業務悪化改定事由による改定の場合には、支給額の改定が認められています。
不相当に高額な部分も損金不算入
また、不相当に高額な部分の金額も損金とされません。
「いくらから高額か」という判断は難しいところですが、国税庁の「民間給与実態統計調査」に、役員報酬の統計があるので、参考にしても良いでしょう。
企業規模別・役員の平均年間給与(単位:万円)
年分
資本階級別 25年分 26年分 27年分
2,000万円未満 543 529 552
2,000万円以上 752 759 834
5,000万円以上 1,037 1,057 927
1億円以上 1,388 1,325 1,288
なぜ、定期・同額でなければいけないのか
旧商法下の役員賞与の会計慣行が利益処分であったことから、昔の税法では、役員報酬(定期支給)は損金算入、役員賞与(臨時支給)は損金不算入というルールでした。
現行の会社法では、報酬・賞与と区分せずに、会計基準でも発生時の費用とすることとされています。
ただ、役員報酬は法人との委任契約と考えられ、職務開始前に支給額や支給時期を決めずに職務を行うことが考えづらいことや、期末の役員賞与が利益調整や「隠れた配当」として利用される懸念もあることから、税務では旧来の考え方が温存された形になっています。
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