米国TPPから離脱

トランプ大統領が環太平洋経済連携協定(TPP)から「永久に離脱する」とした大統領令に署名しました。

各国が協力し、「世界経済の4割を占める巨大貿易圏構想は旗振り役の米国アジア太平洋地域において、物品及びサービスの貿易並びに投資の自由化及び円滑化を進めるとともに、知的財産、電子商取引、国有企業、環境等幅広い分野で21世紀型の新たなルールを構築するための法的枠組みについて定める。」としていた構想も暗礁に乗り上げました。

米国が参加保留で67カ国・地域が署名

パリにおいて「税源浸食及び利益移転を防止するための租税条約関連措置を実施するための多数国間条約」(BEPS防止措置実施条約)の署名式が行われ、日本を含む67カ国・地域が出席して署名しました。

ただし、米国は参加を保留しています。

米国は他国と協調して策定する多国間協定を回避し、TPP同様、二国間での条約にこだわるようです。

租税条約策定に際して、一般的にはOECDモデル条約や国連モデル条約を基としている国が多い中、独自に自国の租税条約締結方針を明らかにするため、米国モデル条約を公表している米国らしさの表れですね。

行動計画15:多数国間協定の策定とは

行動計画15は、世界で約3,500本以上ある二国間租税条約にBEPS対抗措置を効率的に反映させるための多数国間協定を検討しています。

多国間協定の主要目的は、BEPS対抗措置(条約関連)を導入するために、個々の二国間条約改定交渉によらずに、既存の二国間条約を同時かつ効率的に部分変更することにあります。(多国間協定の先例として、税務行政執行共助条約があります。)

この多国間協定は、現行の協定を補完・修正するものであり、各署名国においては、BEPS関連条項の多くについて、一部または全部の受入れに係る選択が可能です。(ただし、条約濫用や紛争解決に係るものは義務的なものとなっています。)

電子商取引の発達等でますます複雑となっている国際取引に関する租税条約の改定も、多国間協定を通じて迅速に部分変更することが期待されています。

こちらはTPPのようなアメリカが不可欠の発効条項はありませんので、適正・適切に進展することが期待されます。

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