非課税では転嫁が前提というのが制度
前段階税額控除型付加価値税である消費税は、仕入税額控除によって課税の累積を排除することを構造的原理としています。
すなわち、非課税取引については前段階税額の控除を許さず、自らの努力で価格に転嫁することによって、その負担を回避するという制度となっています。
しかし、その転嫁を政府が必ずしも保証しているわけではありません。
価格に含ませる転嫁はできているか
非課税の物やサービスの代価には前段階消費税が転嫁されて含まれているのだという解説は正しいでしょうか。
そうであるなら、土地の譲渡価格は消費税の税率アップに連動して価格上昇するはずですが、逆に税率アップ時には下落となることを予想して政策的配慮をしています。
預貯金や借入金の利子の率も、消費税の税率のアップに連動している形跡はありません。
居住用住宅提供の大家さんたちも、実際上、価格への転嫁をできていません。
転嫁が保証されているところはあるか
文科省は、「学校の教育費非課税の一方、学校が負担する仕入消費税は、仕入税額控除対象外であるので、税率アップ時には授業料等に転嫁せざるを得なくなる」と言っています。
非課税の社会保険診療報酬・介護保険適用報酬などは、消費税率のアップに連動して報酬改定され、その資金源の健康保険料・介護保険料の料率の改定もなされています。
消費税で損税が発生しているか否か
日本医師会が、非課税による損税を自覚し、薬品仕入への値引き圧力を強くしたためか、日本医薬品卸売業連合会が「医療医薬品では消費税で損税は発生していません」というパンフレットを発行しています。
それによると、医師報酬や薬局の薬価には、薬価の算定基礎である市場実勢価格に係る消費税相当額が上乗せされているとのことです。
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