非課税事業者の消費税請求
大家さんが居住アパートの家賃に8%の消費税を上乗せしてきたら、それを拒否できるものなのでしょうか。
あるいは、単純な消費税の上乗せ請求ではなく、大家さんが負担した仕入消費税額分として6%を家賃に上乗せしてきたら、その消費税分を拒否できるのでしょうか。
社宅などとして提供している場合に、転嫁拒否されたら、中小企業庁の転嫁Gメンは動いてくれるのでしょうか。
非課税と損税
非課税の物・サービスの提供については消費税請求ができないとすれば、預り消費税はゼロで、ゼロから支払消費税を控除して計算されるマイナス消費税は還付されるべきですが、消費税法では還付されず、非課税事業者の負担するところとされています。
従って、これは損税になります。
しかし、課税当局はそのように考えてはいません。
損税と解されるようなものが発生していたら、自由に決められる収入代金の値上げとして転嫁しているはずとの前提に立っています。
家賃非課税となったときの行政指導
平成3年9月までは、居住用家賃についても消費税課税対象取引でした。
課税対象だったものが非課税対象になったことによる家賃の変更がスムースに行われるよう建設省住宅局長の発遣文書があります。
その文書は、「課税額を非課税額に変更するに際し、当時の税率3%を減額するのではなく、その3%から、賃貸住宅経営のための必要な資材の購入及び役務の提供に係るコストに含まれる消費税相当額を控除して計算した額を減額すること」としています。
非課税にこそ転嫁が必要なのに
平成3年の建設省住宅局長発遣文書はあまり知られないまま、非課税化による損税の発生を意識しないで、全国の大家さんたちは消費税として請求していた額を全額値下げしてしまっていました。
大部分の大家さんは非課税化に伴い免税事業者にもなったので、非課税化はむしろ歓迎されました。
その後、3%が5%になり、さらに8%になったときにも、前段階仕入消費税増加分を家賃の修正とする動きはなかったように思われます。
非課税でも転嫁の努力をしないと消費税敗者になってしまいます。
記事を読まれた方又は第三者が当該業務日誌に記載されている情報などに基づいて被ったとされるいかなる損害についても、当法人およびその情報提供者は損害賠償その他一切の責任を負担致しません。
記事の内容についてのご質問はお問い合わせのページよりお願いいたします。
ご質問の内容によっては有料でのご対応、もしくはご返答いたしかねる場合がございますので、あらかじめご了承ください。