社会保険診療報酬は消費税が非課税
消費税法では、国内において事業者が事業として対価を得て行われる取引を課税の対象としています。
ただし、これらの取引であっても消費に負担を求める税としての性格から課税の対象としてなじまないものや社会政策的配慮から、課税しない非課税取引が定められています。
社会保険医療の給付等(健康保険法、国民健康保険法などによる医療、労災保険、自賠責保険の対象となる医療など)も、社会政策的配慮から、非課税取引とされています。
非課税といっても完全には非課税ではない
消費税の納税負担者は消費者です。私たちが消費者としての普通の感覚からは、「非課税」であると言われれば、社会保険診療(=健康保険の対象となる医療費)には消費税の負担はゼロと捉えがちです。
しかしながら、じつは公定価格である医療費には一部その前段階までの経費(=医薬品・医療材料の仕入れや求人・申告などの委託料、電気・ガス・水道料など)に掛かる消費税も含まれているのです。
消費税の仕組み上、非課税売上に対応する仕入れ税額は控除できないので、売上対価(=医療費)に上乗せしないと医療機関の自己負担となってしまいます。
また医療費は公定価格なので、消費税が上がったからと言って勝手に価格を変えることはできません。
こうした事情を考慮して、公定価格である医療費や薬価はその分を調整された価格となっています。
医療機関側も損税(控除対象外消費税)が発生しています
一方の医療機関側も非課税であるがゆえに自己負担となっている消費税があります。
代表的なものは病院建物や高額医療機器などに掛かる消費税であり、この部分は医療機関側の負担となって残っています。
日本医師会などは、この損税部分の解消を求めた要望を続けていますが、なかなか解決には至っていません。
平成31年10月の消費税率10%への引き上げと同時に軽減税率が導入され、併せて適格請求書等保存方式(いわゆる「インボイス制度」)も導入される予定です。
それを機に非課税になるような改正が行われることになるかもしれません。
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