履歴書に「2級合格」と書いてあっても

会計資格の人気が落ちてきたとはいえ、日商簿記1~4級の年間受験者は約55万人(平成27年)います。

これは大学入試センター試験の受験者数に匹敵します。

中でも経理担当者に取得して頂きたいレベルは、まず2級です。

ただ、履歴書に「簿記2級合格」と書かれていても、その方の実力の程はよくわかりません。

ある税理士の先生の書籍に書かれていた例ですが、簿記2級を取得し、税理士試験受験経験あるというスタッフさんを採用し、入社初日に「売掛金は借方と貸方のどっち?」と尋ねたところ、「貸方?」という答えが返ってきたそうです。

就職活動のために「とりあえず勉強した方」は、すぐに知識が抜けてしまうことがあるようです。

会計事務所に限らず、採用面接の段階で、「売掛金は借方?貸方?」というような、ごく簡単な質問も尋ねるのはこのためです。

平成28年に商業簿記の試験範囲見直し

とはいえ、簿記学習の範囲と会計実務で求められることが乖離していたという事実もあります。

そのため、日商簿記2級の試験範囲が見直され、平成28年の試験では商業簿記の次のような論点の入れ替えが行われました(工業簿記は変わりません)。

試験範囲から除外

社債、特殊商品販売、繰延資産、本支店会計、手形の裏書・割引、大陸式決算法、特殊仕訳帳、荷為替など手形の扱い

試験範囲に追加

売上原価対立法、クレジット売掛金、電子記録債権、引当金、割賦購入、自社利用ソフウェア、資本剰余金からの配当ほか

今日的な論点がどんどん追加!

さらに2級には、平成29年以降も次のような新論点が追加されます。

平成29年度 連結会計、圧縮記帳、リース会計、外貨建取引

平成30年度 税効果会計

合格率も昔のイメージと違います。

第136回(H26.2)の2級試験の合格率は41.6%であったに対し、ここ3回(第141~143回)の合格率は11.8%、14.8%、25.8%です。 

となると最近の簿記2級の合格者は、かなりの「強者」といえます。

採用面接で「いつの簿記2級に合格したのですか?」と聞くことも増えるかもしれません。

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