60歳以降も働き続けると受給年金が、「在職老齢年金制度」によって減額されます。
また、年齢(64歳以下、65歳以上)によってもその減額が異なります。
基準となるのは、大まかに言って「給料と前年のボーナスを合わせた年収の1ヶ月分
(概ね月々の給料+過去1年間にもらったボーナス÷12)と、年金の1ヶ月分を合計した額です。
64歳以下では、この金額が28万円までなら減額されません。65歳以上では、48万円までは減額されません。
それでは、年金が減額されない働き方はあるのでしょうか。少し、検討してみたいと思います。
(1)厚生年金に加入するケース
イ)厚生年金に加入し続けても減額されない条件、おおむね月々の給料+ボーナス1ヶ月分+年金1ヶ月分≦28万円 あるいは≦48万円となるような給与額を支給する会社に勤務する。
ロ)ボーナスを毎年受け取らず、退職するときにその分を退職金として支給してくれる会社に勤務する。
会社の特例措置で賞与を退職金に回すことが可能であれば、ボーナスが減額計算対象から外れので、給料の額をそれほど抑えなくてもすみます。
(2)厚生年金に加入しないケース
減額制度は、厚生年金に加入して働く人が対象ですので、加入しなければ年金額は減額されることも年金保険料負担もありません。
そこで、次のような方策が考えられます。
イ)個人事業主として独立する。勤めていた会社で働き続ける場合でも、個人事業主として「業務委託契約」を結んでもらう。
 個人事業主であれば、青色申告による節税効果も加わって、手取り総額が大きくなります。
ロ)勤務日数か勤務時間のどちらかが正社員の4分の3未満にする(厚生年金の加入義務はありません)。
ハ)原則、従業員が5人未満の個人事業所に勤務する。
 独立して個人事業主になる以外の方策としては、勤務先の都合もあり条件を満たすことはなかなか困難です。
あまり満額受給にこだわると、年金を含めた手取り合計額が減少してしまうこともあります。
また、年齢、配偶者の状況等によっても満額受給にこだわると世帯収入が減少してしまうこともありますので、慎重な対応が必要です。
1.社会保険庁のHP
在職老齢年金制度について

●会社に勤めているとき
Q151
<問>厚生年金保険の年金を受けている方が、会社に勤めることになったとき。
<答>
老齢の年金を受けている方が会社に勤めて厚生年金保険に加入すると、厚生年金保険の老齢の年金は給料と賞与によって決められる総報酬月額相当額と1ヵ月当たりの年金額との合計収入に応じて年金額の一部または全部が支給停止となる場合があります。
また、平成19年4月1日以降、70歳以上の方が厚生年金保険の適用事業所に勤める場合も、厚生年金保険の老齢の年金は給料と賞与によって決められる総報酬月額相当額と1ヵ月当たりの年金額との合計収入に応じて、年金の一部または全部が支給停止となる場合があります。
ただし、70歳以上の方は厚生年金保険の保険料負担はありません。
厚生年金保険に加入する方は、会社に「年金手帳」と「年金証書」を出して会社から社会保険事務所または社会保険事務局の事務所に年金を受けている人が厚生年金保険に加入するための手続きをしてもらってください。
手続きが遅れ、会社に勤めた月の翌月以後の年金を受け取ったときは、受け取り過ぎとなった分を後日返していただくことになります。ご注意ください。
2.日本経済新聞
 平成20年8月31日(日曜日)朝刊
 くらしの安心 働いて年金満額もらう法
日経新聞17面に、「働いて年金満額もらう法」という見出しの記事が掲載されています。
60歳以降も働き続けて厚生年金を受け取ると、在職中は年金受給額が減ってしまうというのが、在職老齢年金制度。せっかく年金受給年齢になったのに減額されるのは納得いかないという方も多いようです。
では、厚生年金を満額受け取りつつ働くにはどうしたらいいのかということになりますが、必ずしも満額受給が最良とは言い切れないので注意が必要です。
要は、年金をもらう方が働き続けたい場合、給与として受給するとその額によって年金が減額される仕組み。
であれば、個人事業主としての収入に変えることができればその減額は回避できるとその記事には書かれています。
仮に務めていた会社で働き続ける場合でも、個人事業主として業務委託契約を結べばいいとも書かれています。
ただこの場合は注意が必要です。問題は、契約を結んでもその実態が伴わなければ問題となります。
いずれにしても、年金の問題はケースバイケース。
過去の加入年数や加入年金の種類、配偶者の保険料の負担の実態等々によって大きくことなりますので、まずは社労士等へご相談ください。

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