後期高齢者医療制度は廃止の方向
75歳以上の高年齢者を対象に2008年4月に始まった「後期高齢者医療制度」は、対象となる患者に掛った医療費について、原則本人負担は1割で残り9割のうち5割は国税や地方税が拠出し、4割は74歳以下の人達が加入する健康保険が拠出しています。
この制度は導入当初から厚労省の準備不足もあり、「高齢者差別である」とか、「保険料が高くなるのでは?」とか、年金から保険料を天引きされる事などで不満が多く寄せられました。
当時の与党も保険料軽減等の措置は講じたものの、この制度に不満を持つ人達は多くいるようです。
一方、新政権ではこの制度の廃止を表明しています。
地域医療保険で一元的に運用
政権公約によると、現在存在する各々の健康保険制度を段階的に統合していく方針を掲げています。
年齢によって差別をしない、また地域間格差や健康保険組合等と国民健康保険の負担の不公平を是正するとして、会社員等が加入する健康保険と市区町村が運営する国民健康保険を統合し、地域保険として一元化するとしています。
反発はどちらからも必至か
一元化については、健康保険組合等からは、職域毎に運営され、従業員の福利・厚生を担い、医療費の節減に取り組んできたという自負もあり、国保との統合で保険料の引き上げや福利・厚生の縮小につながる事もあるのではとの警戒感も示されています。
また、市区町村でも一旦国保から切り離した75歳以上の方々の医療制度を国保に戻すと、負担増になるという反発も考えられます。
廃止に伴う国保の負担増は国が負担するとはしているものの、07年の国民医療費は34兆円で、このうち75歳以上の方の割合は3割を占めています。
現行のままでも国民医療費は毎年1兆円増えるとされています。
制度廃止は2012年の予定とされていますが税負担の拡大も懸念されることから、どのような制度が国民のためになるのか医療制度を再編するのも難しい問題でしょう。

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