長期滞留売掛金
いくら請求してもなかなか代金を支払ってくれないお客様ほど厄介なものはありません。
既に売上には計上をしていますので、決算では入金がないにもかかわらず、すでにそのお客様の売上に対する税金を支払っています。泥棒に追い銭ではないですが、入金がないまま税金だけ支払うこととなり、資金的には持ち出しになってしまいます。
免除はしたくないのが本音
相手の会社が倒産する、または全く支払能力がないことが明らかであれば、あきらめもつきますが、細々とでも営業を続けているような場合は、債権を放棄して免除しなければ、貸倒れとして損金に落とすことはできません。
しかし経営者としては、債権を放棄してあきらめるのも癪だし、かといっていつまでも、売掛金に残しておきたくもない。
できれば回収できたときに収入にあげるから一度損金に落とせないか?と言うのが本音です。
形式上の貸倒れ
法人税法に形式上の貸倒損失というのがあります。
債務者との取引停止後1年以上経過した場合、貸倒れ損失として損金処理できます。
しかしこの適用を受けるには条件があります。条件は以下となります。
①まず売掛金など商売上の債権であったかどうか、貸付金等の金銭債権は該当しません
②更に継続的な取引であったかどうか、1回限りの単発取引では該当しません。
留意点
取引停止後1年以上経過した場合ですから、途中で一部入金があったりした場合は、そこから1年以上経過しなければ摘要はありません。ご注意ください。
法人税法基本通達
(一定期間取引停止後弁済がない場合等の貸倒れ)
9-6-3 債務者について次に掲げる事実が発生した場合には、その債務者に対して有する売掛債権(売掛金、未収請負金その他これらに準ずる債権をいい、貸付金その他これに準ずる債権を含まない。以下9-6-3において同じ。)について法人が当該売掛債権の額から備忘価額を控除した残額を貸倒れとして損金経理をしたときは、これを認める。(昭46年直審(法)20「6」、昭55年直法2-15「15」により改正)
(1) 債務者との取引を停止した時(最後の弁済期又は最後の弁済の時が当該停止をした時以後である場合には、これらのうち最も遅い時)以後1年以上経過した場合(当該売掛債権について担保物のある場合を除く。)
(2) 法人が同一地域の債務者について有する当該売掛債権の総額がその取立てのために要する旅費その他の費用に満たない場合において、当該債務者に対し支払を督促したにもかかわらず弁済がないとき
(注) (1)の取引の停止は、継続的な取引を行っていた債務者につきその資産状況、支払能力等が悪化したためその後の取引を停止するに至った場合をいうのであるから、例えば不動産取引のようにたまたま取引を行った債務者に対して有する当該取引に係る売掛債権については、この取扱いの適用はない。

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