個人の金融証券税制は、とても複雑になっています。
その一因は、課税方式の選択の場面が多いことがあげられます。
具体的には、上場株式等の配当等の場合は、総合課税、申告分離課税、申告不要(源泉徴収)、非課税(NISA)です。
そして、「確定申告」するか、それとも、「申告不要」とするかは、1回に支払いを受ける配当ごとに選択でき、確定申告する場合は「総合課税」か「申告分離課税」かのいずれかを選択しなければならず、また、いずれを選択するかで「上場株式等の譲渡損失との損益通算ができる・できない」、「配当控除ができる・できない」が決まります。
外国上場株式の配当とその課税方式
昨今は、海外赴任も一般的になってきています。赴任中、現地に上場されている株式を取得、その後、帰国し居住者となって、その外国上場株式からの配当を受領した場合、課税方式の選択の余地はなく、総合課税のみの適用か、といった疑問を抱く場合もあるかと思います。
結論からいえば、当該配当の支払が国内の金融商品取引業者等を通じて実施されているかどうかにかかわらず、現地の支払代行機関からの直接の支払であっても、その配当が現地(外国)の証券取引所に上場されている株式の配当である限り、その配当所得の申告にあたっては「申告分離課税」を選択することは可能です。
確定申告不要制度の適用の可否
外国の証券取引所に上場されている株式の配当であっても、その配当が国内の金融商品取引業者等を通じて支給されているものであれば、法律上、その配当については、源泉徴収(外国で課された源泉税があればその残額に対して)されることになっていますので、その配当は内国法人からの配当とみなされ、確定申告不要も選択することができます。
ところで、個人の大口株主(発行済株式総数の3%以上保有)の上場株式の配当にあっては、総合課税のみが適用され、申告分離課税、申告不要制度は選択できません。
しかし、この総合課税の規定は、国内の上場株式についてのみ適用され、国内の取扱業者等を通じて支給される外国上場株式の配当については適用されません。
したがって、現地法人の大口個人株主であったとしても、また、その金額の多寡にかかわらず、確定申告を不要とすることができますので、押えておきましょう。

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