2005年12月に起きたジェイコム株の誤発注事件を巡り、みずほ証券が東京証券取引所に約415億円の損害賠償金を求めていた訴訟で、昨年12月、東京地裁は約107億円の損害賠償の支払を命じました。
その後、この訴訟は控訴審で引続き争われているようです。
訴訟の内容はともかく、東証の賠償金が膨らんでいるのは、4年分の金利に当たる約25億円の遅延損害金が加算されているためと言われています。
超低金利時代の高い法定利率 
損害賠償債務のような金銭の支払を目的とする債務の遅延損害金の場合、当事者の合意がなければ、民法の定める年5分の民事法定利率か、または商法の定める年6分の商事法定利率によって計算されます。
この法定利率の趣旨は、「得べかりし運用益」、言い換えれば、「被害者が賠償金を現実に受取るまでの期間について『利子』を付けてもらわないと、実質損害が填補されたとは言えない」ということでしょう。
であれば、現下の超低金利時代にこの法定利率はあまりにも高すぎはしないかという疑問が生じます。
この法定利率は、法の趣旨からいって、罰則、懲罰的な意味を込めて定めているわけではないと思料します。
高度成長時代から昭和の終わりにかけては、市場金利が9%前後も珍しくありませんでした。
しかし、現状の金利水準を考えると、法定利率が今も昔も同じ水準というのは問題です。
税務はすでに対応した
税務においては、資金繰りが厳しくて納期限までに税金が支払えなかった場合には、その遅延による損害金(税法では「延滞税」)は、懲罰的な意味を込めて(税の公平性の観点から)、納期限から2ヶ月以内までの期間は未納税の7.3%でした。
しかし、平成12年1月1日以後については、年7.3%と各年の前年の11月30日を経過するときにおける公定歩合に4%を加算した割合のいずれ低い方で計算することに改められました。
(遅延が2ヶ月を超える場合の14.6%は変更ありません)。
現在、債権法の見直し作業が進められており、この法定利率も変動方式に改めることも検討されているようです。
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