過日の年金二重課税判決(最高裁)のように、判決等により「国税庁長官の法令解釈」に変更が生じた場合、法定申告期限から1年以内であれば「更正の請求」により納税者は救済されます。
しかし、更正の請求期限を過ぎたもの、つまり、法定申告期限から1年を超え5年以内の年分については、還付請求権の5年間の行使はあるものの、平成17年までのその取扱いは、納税者の嘆願申請により、税務署長の職権による減額更正で還付を実施し納税者を救済してきました。
更正の請求に基づく還付請求権
平成18年度の税制改正で、判決等により国税庁長官の法令解釈に変更が生じ、過去に遡って取扱いの変更を受ける場合には、その変更も「後発的事由」による更正の請求の対象に追加しました。
具体的には、「変更後の解釈が国税庁長官より公表されたことにより、当該課税標準等又は税額等が異なる取扱いを受けることとなることを知った場合には、その知った日の翌日から起算して2ヶ月以内に更正の請求ができる」という内容です。
過日の年金二重課税に伴う更正の請求は、この取扱いによります。
この改正により、納税者は、法令上の手続きである「更正の請求」の行使に基づき、法定申告期限から1年を超え5年以内年分の過誤納金について還付請求権を取得することができるようになりました。
還付請求権と職権による減額更正
法令上の手続きである更正の請求の行使に基づく還付請求権と職権による減額更正による還付と実質的に何が異なるかです。
税務署長の職権による減額更正は、法令上、あくまで納税者の嘆願による過誤納金の返還請求で、この嘆願(申請)を受けて税務署長が還付するかどうかを決定します。
したがってそれは、法令上、納税者に付与された正当な権利ではありません。
一方、更正の請求の行使に基づく還付請求権は、法令上、納税者に付与された正当な権利です。
この還付請求権には、一身専属性はなく、一般私法上の金銭請求権と同様であると解されています。
それゆえ、当然に相続の対象になり、また、一定の要件(譲渡の事前通知と確定日付)を具備することによって第三者に譲渡することもできます。     
過日の年金二重課税に伴う還付請求権も例外ではありません。

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